モデル・タレント・女優
西内ひろさん
今回登場してくれるのは、モデルやタレント、女優として国内外で活躍中の西内ひろさんです。10代で芸能界入りし、数多くの映画や舞台、CMに出演。「トリンプ・イメージガール」選出や「2014ミス・ユニバース・ジャパンコンテスト凖グランプリ」に輝くなど、華々しい経歴をお持ちです。その傍らで、約2ヶ月間の女子ひとり旅に出かけたり、自身で撮り溜めた旅の写真展を開催したりするほど、ストイックな旅好きの一面も。今回は、そんな彼女の“旅人インタビュー”をお届けします。
インタビューに答えてくれた西内さん。ポジティブな性格で、コロナ禍での
自粛期間についても全部プラスに転換して過ごしたお話などをいただきました。
「フィリピン観光大使として活動。
主演映画はコロナで公開延期に」
ー 最近の西内さんのお仕事について教えてください。
2018年からフィリピンの観光大使として活動させていただいています。現地のイベントや有名バラエティ番組、CMなどに出演させていただくことも増え、今春にはちょうど主演したフィリピン映画が公開予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響で映画祭は直前で中止。公開も未定になってしまいました。
ヒロインとして出演したフィリピンの映画が、「SINAG MAYNILA FILM FESTIVAL 2020」
という映画祭のファイナリストに選出。その模様は現地ニュースでも放送されました。
ー 海外ではフィリピンでの活動が多いようですね。
はい。今は観光大使を務めさせていただいている事もあり、フィリピンとの関わりが多いですね。実は2019年くらいから毎月のように現地に行っていました。フィリピンにはセブ島やボホール島、コロン島など美しいビーチリゾートやダイビングスポットがたくさんあって、もともと好きな旅先でした。実はマニラがコロナでロックダウンした際も、ちょうど現地にいて。なんとか帰国できましたが、これがどこかの島にいたら2-3ヶ月は帰国できなかったかもしれません。まだフィリピンへの観光でも渡航は出来ませんが(2020年10月上旬時点)、早く美しい海でダイビングできるようになるのが待ち遠しいです。
フィリピンのパラワン諸島にあるコロン島での写真。フィリピンには、
日本人にまだまだ知られていない島やビーチがたくさんあります。
「旅先で出会った仲間たちが
自粛期間の寂しさを埋めてくれた」
ー 他にはどのような旅行がお好きなのですか?
6月にはスペインのイビサ島やギリシャのザキントス島など、地中海の島々をアイランドホッピングする予定でした。私はやはり海や島が好きで、調べれば調べるほどヨーロッパには行ってみたい島が見つかります。今年に入ってからずっと楽しみにしていたのですが、ただそれもコロナの影響で中止になってしまいました。
エーゲ海に浮かぶギリシャのミコノス島を旅したときの写真。
反対側のイオニア海側の島々も行ってみたいと思っています。
ー 自粛期間中はどのような過ごし方をしていましたか?
旅行中に出会った友達が世界中にいるので、オンラインでコンタクトを取り合っていました。パリやロサンゼルス、シンガポールなどのリアルな様子を映像で送ってもらい、お互い励まし合うことで乗り切ることができたと思っています。また、料理にも挑戦しました。もともとあまり家にいるタイプではなく、こんなに在宅していたのは中学生以来かも(笑)。せっかく出来た時間なので、オーブンを新しく買って、ネットで作り方を調べて、スペイン料理のパエリアに挑戦したんです。ワインもいつもよりちょっと贅沢なものを用意して、スペインに行けなかった分、おうちで旅行気分を満喫していました。
オンラインミーティングアプリを使い、世界中の友達とコミュニケーション
できたおかげで、寂しく感じることはありませんでした。
「コロナ禍は日本の魅力を
見つめ直すきっかけを与えてくれた」
ーいまだに海外旅行は難しい日々が続いています。
今は逆に、「もっと日本を見てみよう」という気持ちで国内を回っています。これまで旅といえば海外ばかりに興味があり、国内は旅したとしても箱根や軽井沢、下田など首都圏近郊ばかりだったのですが、今年の7月以降は北海道や沖縄など、遠くまで足を運ぶようになりました。
今年、沖縄でダイビングした際の写真。海外の海と比べてもまったく
引けを取らないサンゴの美しさに、ただただ驚き感動しました。
ー 最近印象的だった国内旅について教えてください。
北海道で滞在した「リゾナーレトマム」がとても素敵でした。雲海テラスにはもともと行ってみたかったのですが、ホテルの敷地内には広大な牧場もあり、かわいいヤギやヒツジも飼育されていて、とても心地よい空間でした。牧場のど真ん中に、なんと牧草のベッドがあるんですよ!気候も素晴らしいし、寝心地もよくて、次はもっと長く滞在したいと思いました。
ー そんな最近の国内旅の様子を、写真展でも紹介されているそうですね。
はい。9月に葉山、10月に原宿で「Beautiful Scenery of Japan(日本の美しい風景)」というタイトルで写真展を行い、オリジナルのTシャツやトートバッグも作りました。自分の旅が写真やアイテムを通じて誰かに届き、同じく旅に出たいと思ってもらえたら、それはとても嬉しいことです。また、ちょうど
YouTubeチャンネルも開設したタイミングだったので、そこでも今年の国内旅行について発信しています。よかったらご覧になってみてください。
8月に行ったトマム。この日は朝の4時に起床して雲海テラスへ。
発生確率40%ほどと言われる雲海にも運良く遭遇!
ー 旅先ではどんなおみやげを購入されますか?
自分で料理をやってみてから、器やガラスに興味を持つようになり、それで旅先では素敵な食器を買って帰りたいと思うようになりました。山口県で萩の窯元を訪ねたり、兵庫県では「つくも窯」という工房にお邪魔したり。それと、今はコロナの影響でなかなか祖母に会えないので、現地の道の駅とかに寄って、直送できるおみやげを買って送ってあげました。北海道の夕張ではメロンを、沖縄の石垣ではマンゴーなど、その土地ならではのフルーツを選んだのですが、とても喜んでくれました。
こちらは兵庫県の工房で活躍する陶芸家、十番天伸さんの作品。模様の異なる
4皿を購入。盛り付けを考えながら料理するのがとても楽しくなりました。
「海外でも通じる仕事がしたい。
そう思わせてくれた21歳のひとり旅」
ー 今までで一番忘れられない海外旅行は?
今フィリピンを始め、海外のお仕事もできていますが、これは21歳の時に出かけた旅がきっかけだったと思っています。ちょうど事務所をやめてすぐのタイミングで、約2ヶ月間のひとり旅に出かけて。その旅は、いきなりラスベガスからスタートしたのですが、現地のエンターテインメントショーを見て、言葉にならないくらいの刺激を受けたんです。あ、今のままじゃダメだ。日本だけじゃなく、海外で活躍できるよう存在になりたいと思いました。
21歳、初めての海外一人旅で訪れたのがラスベガス。もしこの街で、
エンターテインメントの刺激を受けてなかったら、今の私はいないと思います。
ー ラスベガスからスタートって、珍しいですね(笑)
ですよね(笑)。演劇の仲間がラスベガスにいたからなのですが、せっかくなのでカジノにもトライしましたよ。まだ旅が始まったばかりだったので、かわいく賭けて2万円が4万円になって。その分、ショーを多く見ることができてラッキーでした(笑)。またラスベガスからグランドキャニオンやアンテロープキャニオンに出かけて、世界でも指折りの大絶景をいきなり見られたことで、海外への関心がより高まるきっかけになったと思います。他に、シンガポール、トルコ(イスタンブール、カッパドキア)、ドイツ、イタリア、フランス、ポルトガル、モロッコ、スペインを訪問しましたが、私の原点は間違いなくこの旅にありました。
ー 21歳というタイミングもよかった?
それはあると思います!実は旅する前まではあまり英語も得意ではなかったのですが、旅に行けば行くほど現地の人としゃべりたいと思うようになりました。当時は怖いものなんてなかったし、なんでも勉強し、適応してやろうと思っていました。食事もそうですよね。私はずっと和食で育ったけど、旅先で色々トライした結果、今はしばらく和食を食べない旅でも全然平気です。もちろん緊張はたくさんしたけど、今思えば若くして世界を経験できたのがよかったです。
24歳で訪れたキューバ。ハバナの旧市街では、ひたすら現地
キューバの方々との交流や、現地のグルメにトライしていました。
「海外に行けなくなった今、
旅の持つパワーをつくづく感じている」
ー 海外への渡航が解禁になったら、真っ先にどちらへ行きたいですか?
そうですね、スペイン&ギリシャやフィリピンへのリベンジはもちろんですが、サハラ以南のアフリカにも行ってみたい。私、アフリカは北部のモロッコしか行ったことがないので、国立公園の圧倒的な大自然を見て癒されたい。ケニアはずっと憧れの国です。旅は私にとって、インスピレーションの源。旅の最中は、これまで自分になかった発想がいきなり飛び込んでくるんです。異国情緒のあるところや、非日常感を感じるところはなおさら。やっぱり私には、旅は欠かせない。行けるようになったら、もうすぐにでも飛んで行きたいです。
モロッコでは過酷な南部も周遊し、サハラ砂漠のテントにも宿泊。
もっとアフリカも回ってみたいと思うきっかけになりました。
ー海外旅行のスタイルはどのように変わっていくと思いますか?
うーん、再開後、初めての海外はきっと緊張すると思いますが、それでも私はワクワクの方が勝ると思っています(笑)。あと、マスクは旅のマナーになるでしょうね。これまでも乾燥防止のために機内でマスクしていて、ヨーロッパやアメリカの人たちからギョっとした目で見られていたので、今後はそうならないといいな。あとは接触を防ぐために、キャッシュレス決済の国が増えてきていると聞きます。現金だとお釣りもわかりづらいけど、キャッシュレスだと明細も残るし、お金も持ち歩かなくて済むので安心ですよね。コロナがきっかけで世の中ベターになっていく部分もきっとたくさんあるのだと思います。
「空港に来るだけで気分が高まる。
KIXには若い頃の思い出が詰まっている」
ー関西国際空港(KIX)を使った旅も多いと聞きました。
はい。私は福岡出身なんですが、芸能界のお仕事で初めて大阪で仕事が入った時に、飛行機に乗って関西国際空港に降り立ちました。まだガチガチに緊張していたので、空から見えてきた大阪の街並みは今でも鮮明に覚えています。あと、その時のマネージャーさんが「大阪に来たらこれを食べて帰らなきゃダメよ」と、「551蓬莱」の豚まんのことを教えてくれたのが印象的でした(笑)。他にも、たこ焼きや串カツなど、大阪は独自の食文化が多いので大好きです。その土地に着いたら、必ず現地のものを食べる。関西国際空港で教えてもらって以来、今でもずっと守っているマイルールです。
「郷にいれば郷に従え」の精神は大阪への出張で学んだのかも。
「着いたらまずは現地のグルメ」は今では私の中の鉄則です!
「海外の人たちに日本の魅力を伝えたい。
コロナの前の自分ではできなかったこと」
ー今後、旅についてどのような発信をしていきたいですか?
今、やりたいことがたくさんあるんです!日本を色々旅して、その素晴らしさを改めて学ぶことができたから、今後海外に行けるようになったら、今回学んだことを現地の人に伝えたい。もしできるなら、日本の自治体の観光大使とかにも挑戦してみたい。現地でも日本の写真展を開催したり、あとは自分が日本各地で集めてきた器やガラスなどのコレクションも紹介したい。イベント開催が難しかったら、私の目線で日本の文化を伝える英語サイトを作りたい。それもこれも、全部コロナ禍以前の自分では思い浮かばなかったこと。だから自粛期間に過ごした時間も、きっと無駄じゃなかったと思っています。
Profile
西内ひろ
福岡県出身。テレビ、雑誌、CM 等でタレント、モデルとして活動。 福岡でスカウトされ、芸能界入り。2009「トリンプ・イメージガール」選出。2010年から世界ひとり旅にハマり、現在では35ヵ国を旅している。2014年「ミス・ユニバース・ジャパン 準グランプリ」に輝き、書籍「準グランプリ」(宝島社)を出版。「タニタ」のイメージモデルやアメリカブランド「Saucony」のアンバサダーも務め、トライアスロンや東京マラソンも挑戦するなど ヘルシーなライフスタイルも発信。2018年からフィリピン観光大使にも任命され、フィリピン映画や雑誌、番組などでも活動中。
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