KIXから世界のどこまでも。
〜関西国際空港から、いつか行きたい憧れの旅〜
Vol.12
Uyuni Lake
ウユニ塩湖。
「死ぬまでに見たい絶景」を
見たあとに感じたこと
伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
Edited by

伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
2005年、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行する出版社ダイヤモンド・ビッグ社に入社。編集部にてフランスやドイツ、香港、ロサンゼルス、ハワイなど世界中のガイドブックを制作。2017年に独立、クリエイティブ・ディレクターとして連載や動画ディレクション、トークイベントなど、幅広く旅行コンテンツを発信中。
Instagram @izawakeiichi
タラップから降りた途端、
酸素の薄さに少しめまいがした。
ここは南米、ボリビアのウユニ空港。
軽い酸欠になるのも無理はない。
この空港があるのは標高約3,700m、
富士山山頂とほぼ同じ高さである。
「いつもより空が近い」、そんな感覚さえ覚えた。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
ここは「死ぬまでに見たい絶景」で知られる
ウユニ塩湖への最寄り空港。
国際空港のあるラパスからウユニまでは
悪路のバス移動で有名だったが、
この空港が2011年に開港したおかげで
アクセスは格段に便利になった。
それでも関西国際空港からラパスまで、
最低でも2回は乗り継ぐ必要があり、
ウユニはこれまで紹介してきた旅先でも
断トツで所要時間を要する旅先である。
空港に迎えに来てくれたツアーガイドの車で
早速ウユニ塩湖へと向かう。
遠く日本からはるばるやってきたのだから、
見るものすべてに感動したいところだが、
移動中の車窓は極めて退屈だ。
残念ながら通り過ぎる町並みには、
何の趣も感じられない。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
途中、運転手が立ち寄ってくれたのが
日本語で「列車の墓場」を意味する
「セメントリオ・デ・トレンス」。
19世紀後半に資源運搬用に使用されていた
蒸気機関車や貨車の残骸が放置された場所だ。
廃墟好きにはたまらないのかもしれないが、
あまり長居する気にもならず、
すぐに塩湖に向けて出発してもらった。
そもそも僕がウユニ塩湖の存在を知ったのは
いつ頃だろうか。
2000年代前半、まだSNSなどない時代。
自分にとって一番確かな情報収集は
安宿に泊まり、各国のバックッパッカーと
世界のおすすめ旅先情報を交換することだった。
イエメン、ナミブ砂漠、インドのゴア、
かなりマニアックなネタが飛び交った。だが、
そこでウユニの名前を聞くことは一度もなかった。

出発してから30分ほど経ったところで、
外の景色が少しずつ変わってきた。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
見渡す限り平坦な世界。
もともと海だった場所が干上がり、
東京都の5倍の面積の巨大な塩湖が誕生した。
塩湖内の高低差はわずか50cmしかなく、
「世界で最も平らな場所」としても知られている。
これが雨季になると、塩湖に水がたまり、
鏡面のように空や雲を映し出す。
いわゆる「死ぬまでに見たい絶景」である。
僕が訪れたのは乾季の終わり頃だったので、
まだ水たまりのない塩湖だったが、
それでも広大な雪原にいるかのようで
とても美しい光景だった。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
見渡す限り平坦な世界。
もともと海だった場所が干上がり、
東京都の5倍の面積の巨大な塩湖が誕生した。
塩湖内の高低差はわずか50cmしかなく、
「世界で最も平らな場所」としても知られている。
これが雨季になると、塩湖に水がたまり、
鏡面のように空や雲を映し出す。
いわゆる「死ぬまでに見たい絶景」である。
僕が訪れたのは乾季の終わり頃だったので、
まだ水たまりのない塩湖だったが、
それでも広大な雪原にいるかのようで
とても美しい光景だった。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
旅行のタイミング的に、水たまりに映る
絶景は見られないと割り切っていたが、
ツアーガイドいわく、
塩湖の端に行けば小さな水たまりがあり、
そこで鏡張りの光景が見られるという。
思ってもみなかった幸運!
ただし、この日はもう遅いので
明日再挑戦することにして、
今晩宿泊するホテルへと向かった。
ウユニでぜひおすすめしたいのが、
塩でできたホテル「ルナ・サラダ」だ。
床も壁もすべて塩でできており、
塩湖を巡る旅にぴったりであろう。
決して豪華なホテルではないが、
家具や内装はとてもかわいらしい。
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ホテルは少し高台に位置しており、
テラスからは遠方に塩湖が見渡せた。
この開放感だけで十分泊まる価値がある。
この日、ダイニングルームの窓一面に広がる
夕焼けのグラデーションは見事だった。
きっと明日も天気に恵まれる。
長旅の疲れもなんのその、
明日に向けて気分が高揚してきた。
そして翌日、「死ぬまでに見たい絶景」を目指し、
再び車は塩湖を走り出した。

ウユニ塩湖が有名になった時期を思い出してみる。
その姿を写真で頻繁に見かけるようになったのは
おそらく2000年代後半だろう。
インターネットが普及し、多くの旅人が
ブログやSNSで発信したのがきっかけだと思う。
塩の上に薄く雨水が溜まり、それが反射して
空を映す様子が「天空の鏡」としてブレイクした。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
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高性能カメラがより買いやすくなったことも
影響しているかもしれない。
日中のみならず、夕方や星空の写真も
おそらく目にしたことがあるのではないか。
僕も初めてその姿を見たときには
「こんな旅先が、まだこの世にあったのか!」と
度肝を抜かれたことを覚えている。
そして今回のウユニの旅で、
その光景を目の当たりにすることができた。
確かに疑うことのない絶景。
雨季が来るたびに見られていたはずだが、
これほどの景色が長いこと
知られていなかったことのほうに改めて驚いた。
日本からは“ほぼ地球の裏側”だし、
これ以外に見どころは乏しいが、
死ぬまでに見られて本当に幸せだと思った。
思えば僕が旅を愛するようになってから
また20年足らずだが、
その短い期間でもウユニのような発見があった。
当然、これからも新発見や再認識される
旅先が出て来るだろう。
そう考えると、地球の発見の旅は
コロンブスの時代から今も続いている。
ウユニの絶景を見ながら、
そんな旅のロマンをも噛み締めていた。
ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと ウユニ塩湖。「死ぬまでに見たい絶景」を見たあとに感じたこと
一方で、これまで人気だった観光地が
戦争や火災、自然破壊などで
見られなくしまったニュースも耳にする。
非常に悲しいことではあるが、
「死ぬまでに見たい絶景」が
「死ぬまで存在する絶景」とも限らない。
ウユニの美しい夕日を見ながら、
この絶景に巡り会えたこと、
そして旅が当たり前にできる「平和」に
感謝せずにはいられなかった。