KIXから世界のどこまでも。
〜関西国際空港から、いつか行きたい憧れの旅〜
Vol.10
Havana
キューバの首都ハバナで考える、
「人生で大切なもの」
伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
Edited by

伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
2005年、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行する出版社ダイヤモンド・ビッグ社に入社。編集部にてフランスやドイツ、香港、ロサンゼルス、ハワイなど世界中のガイドブックを制作。2017年に独立、クリエイティブ・ディレクターとして連載や動画ディレクション、トークイベントなど、幅広く旅行コンテンツを発信中。
Instagram @izawakeiichi
私たち日本人と異なる思想を持つ国では、
当然私たちの知らない
人生の愉しみ方があるわけで、
そんな旅から帰ってきた直後は
「人生で大切なもの」が何か、
一瞬わからなくなったりする。

カリブ海に浮かぶキューバという国は、
そんなことを考えさせられる旅先だ。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
資本主義である日本とは
何もかもが異なる社会主義国家。
医療や教育、社会保険が無償な反面、
国民の平均月収はわずか40ドルほど。
キューバの象徴ともいえるクラシックカーは、
長らく自動車の売買さえ自由にできなかった
この国の“負の側面”でもある。
20世紀初頭、キューバは
アメリカの保護国として独立を果たし、
親米政策を取っていた時期があった。
首都ハバナにある旧国会議事堂はその名残で、
ホワイトハウスを模して造られたという。
だが、1959年のキューバ革命で社会主義へ転換。
以後アメリカとは50年以上に渡り敵対関係となった。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
オバマ政権のもとで国交が回復し、
2016年にアメリカ〜キューバ間の直行便が復活。
だが、現政権下では再び規制が厳しくなり、
アメリカから観光を目的とした渡航は
できなくなってしまった。(※1)
現在、関西国際空港からハバナへは、
カナダかメキシコ経由が最良のルートだ。
最低2回の乗り継ぎが必要で、
かつ日本のキューバ大使館領事部にて
「ツーリストカード」の発行も必要(※2)。
ハードルは高い。
だが、だからこそ旅のし甲斐もある。
最短でも20時間を超えるフライトの末、
ようやく上空から陸地が見えた時は鳥肌が立った。
ハバナの街並みには一切の無駄を感じない。
それは街なかに、
アメリカの大手チェーンストアの看板が
見当たらないからかもしれない。
今もハバナは昔からの街並みが、
美しく保たれている。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
複雑な社会体制や政治史を知らなくても、
60年前にタイムスリップしたような感覚は、
単純に感動ものである。
こうした刺激やエモーションこそが、
「人生で大切なもの」なのではないか。
ふとキューバ滞在中に頭をよぎった。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
複雑な社会体制や政治史を知らなくても、
60年前にタイムスリップしたような感覚は、
単純に感動ものである。
こうした刺激やエモーションこそが、
「人生で大切なもの」なのではないか。
ふとキューバ滞在中に頭をよぎった。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
旅は続く。
かつてコロンブスによって発見され、
スペイン帝国の植民地として
著しい発展を遂げたキューバ。
19世紀当時の繁栄の面影を色濃く残す
ガルシア・ロルカ劇場は必見だ。
ここでも数多く目にするクラシックカー。
2011年に新車販売が解禁になったものの、
一般のキューバ国民にとっては高値の花で、
新車販売台数はまだまだ少ないそうだ。
タクシーの助手席から見たノスタルジックな景色。
おそらく50年前からほとんど変わってないだろう。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」 キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」 キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
キューバを語る上で欠かせないのが
革命家チェ・ゲバラの存在である。
革命広場の内務省の壁面を始め、
街のレストランやおみやげ屋など、
いたるところで見かけることができる。
革命の英雄として深く愛された人物で、
今もキューバ国民の心の拠り所になっている。
そんなハバナ滞在中、
ここが社会主義国家であることを
痛感させられることがあった。
使い捨てライターを購入したかったのだが、
街のどこを探しても売っていなかったのだ。
代わりに見つけたのは、
100円ライターにガスを注入してくれる修理工。
キューバ人にとって、ライターでさえも
使い捨てるなんて発想はないのだろう。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
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だけど、この国の人々の表情から、
貧しさや苦しさは微塵も感じない。
街ですれ違うキューバの人々は
みな人懐っこい笑顔を返してくれた。
ここは、お金や物資は少ないが、
医療や教育の心配は無用。
逆に、ラム酒や葉巻、サルサ音楽、
そして陽気なカリブの太陽など、
人生を謳歌するために必要なものは
十分に揃っている。
キューバとは、そういう国なのだ。
冒頭に書いたとおり、
私たち日本人が知らない
「人生の愉しみ方」が確かにここにはあった。
そして、日本で当たり前に感じている
働き方や贅沢が、この国でも幸せとは
限らないことも同時に悟った。
心地よく裏切られた感じ。
だが、このカルチャーショックこそが、
旅の醍醐味なのだとも思う。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
そういえば、帰りの機内で見た
ドキュメンタリー映画
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』で、
ボーカルのコンパイ・セグンド(享年95歳)は
この国の、この景色の中で、
次のような言葉を残していた。

「人生で大切なのは、花と女とロマンスだよ。」
自分の答えがまったく見つからない中、
予想もしなかった角度から
ぐっと胸に付き刺さった名ゼリフ。
もう少し歳を重ねてから、
また再訪したいな・・・。
キューバは心からそう感じた国だった。
キューバの首都ハバナで考える、「人生で大切なもの」
コンパイ・セグンドが
映画で語っていたのは90歳過ぎ。
僕が答えを見つけるのは、次のキューバ旅の時でも
まだ遅くはないはずだ。
※1 情勢は流動的。常に最新情報をアップデートするよう心がけてください。
※2 ビザは不要だが、観光目的で30日以内滞在する場合、「ツーリストカード」が必要。詳しくは下記のビザについてご参照ください。