KIXから世界のどこまでも。
〜関西国際空港から、いつか行きたい憧れの旅〜
Vol.3
Bhutan
ブータン、
ここは本当に「幸せの国」?
伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
Edited by

伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
2005年、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行する出版社ダイヤモンド・ビッグ社に入社。編集部にてフランスやドイツ、香港、ロサンゼルス、ハワイなど世界中のガイドブックを制作。2017年に独立、クリエイティブ・ディレクターとして連載や動画ディレクション、トークイベントなど、幅広く旅行コンテンツを発信中。
Instagram @izawakeiichi
1971年に国連に加盟するまで、
鎖国政策をとってきたブータン。
未開拓の自然や、伝統的な生活風習が
いたるところに残っており、
世界中の旅人から「最後の秘境」や、
「シャングリ・ラ」などと評されている。
関西国際空港を出てからブータンまでは
アジアの都市を経由する必要がある。
バンコクやシンガポール経由が一般的で、
上記都市からの飛行時間は約4〜6時間と、
意外なことに距離的には
それほど遠くはない。

ブータンはインド、そして中国と
国境を接しており、
国土の大半が2000m以上という
山岳国家である。
そのため、パロ国際空港への着陸の際には、
かなり山肌に接近したスリリングな
飛行となる。
飛行機嫌いの自分にとって、
手に汗握る緊張のフライトの中、
機体は無事に滑走路へとランディングした。
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
これまで世界中で300近い空港を
利用してきたが、
ブータンの玄関口、パロ国際空港は
間違いなく世界で一番美しい
空港だと思う。
飛行機から降りた旅人の誰もが、
これから始まるブータンの旅に
心を踊らせる。
旅行者は皆、
空港で公認ガイドと待ち合わせを行う。
ブータンの旅は少しややこしい。
独特の「公定料金」と呼ばれる
システムを持ち、
滞在中の全日程に公認ガイドの同行
が必要となる。
必然的に旅行代金は値上がりするので
バックパッカーや学生旅行では
足を踏み入れづらい国となっている。

もちろん、情報不足で、
携帯の電波も繋がりづらい
ブータンにおいて、このガイドの存在が
非常に心強いのは言うまでもない。
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」? Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
さて、この国の見どころとなるのは、
ブータン人の生活様式そのものだ。
グローバリゼーションにより
アジア各国の伝統や宗教色が薄れていく中、
ここブータンは、
人々の民族衣装の着用率も高く、
またツェチュと呼ばれる
祭りの様子も圧巻だ。
「ゾン」と呼ばれる城塞建築も
必見である。
政治の行政機関でありながら、
宗教の中枢も担う重要施設。
首都ティンプーにあるタシチョ・ゾンや、
ティンプーから80kmほど離れた
プナカのゾンは絶対に
訪れて欲しいスポット。
威容を誇る外観もさることながら、
内部の装飾や壁画もとにかく素晴らしい。
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」? Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」? Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
そんなブータンだが、日本では、
「幸せの国」として認識している方も
多いのではないか。

実はこれ、ブータンの先代の国王が
「国民総幸福量(Gross National Happiness、略してGNH)」
という独自の指標を
採用したことによるもので、
行き急いだ経済成長を見直し、
伝統的な社会や文化、
環境などに配慮しながら、
「国民の幸せ」の実現を目指す
という考え方だ。
実際にブータンでは、
GNH Commissionという政府機関が、
GHNの考えに基づいて政策の
舵取りをしている。
誤解されやすいが、ブータンは
「世界幸福度ランキング」が
1位なわけではない。
(国連の最新発表によると、1位はフィンランド、ブータンは95位)
しかし、ブータンを旅する最中に出合うのは
穏やかで、人懐こい笑顔ばかりである。

国民想いで人気者の国王がいて、
医療費や教育が無償で平等に提供され、
衣食住が保障された社会。
さらに、日常の隅々まで行き届いた
仏教信仰が、
日々に豊かさをもたらしているのだろうか。

もちろん数泊の旅行で
彼らの根本にある幸福度を
測ることはできないが、
それなりに旅をしていると、
街中の人々を見ることで、
精神的な充足度くらいは感じ取れるものだ。
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」? Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
むしろブータンの旅は、
私たち日本人に、物資的な豊かさだけが
幸せのかたちではない、と教えてくれる。

祈りと笑顔。
私も滞在中、人々を観察しては、
「本当の幸せ」とは何か、考えさせられるシーンが幾度となくあった。
答えなど出るはずもないが、その作業は
ブータンの澄んだ空気の中で
心が解きほぐされていくような、とても心地のよい感覚だった。

ブータンで何をしたかと問われたら、
「幸せについて考えていた」だけかもしれない。
そんな旅先は、あとにも先にもブータンだけだが、
だからこそ、やはりブータンは
「幸せの国」と呼ぶにふさわしいと、私は思う。
Kingdom of Bhutan ブータン、ここは本当に「幸せの国」?
むしろブータンの旅は、
私たち日本人に、物資的な豊かさだけが
幸せのかたちではない、と教えてくれる。

祈りと笑顔。
私も滞在中、人々を観察しては、
「本当の幸せ」とは何か、考えさせられるシーンが幾度となくあった。
答えなど出るはずもないが、その作業は
ブータンの澄んだ空気の中で
心が解きほぐされていくような、とても心地のよい感覚だった。

ブータンで何をしたかと問われたら、
「幸せについて考えていた」だけかもしれない。
そんな旅先は、あとにも先にもブータンだけだが、
だからこそ、やはりブータンは
「幸せの国」と呼ぶにふさわしいと、私は思う。