KIXから世界のどこまでも。
〜関西国際空港から、いつか行きたい憧れの旅〜
Vol.7
Morocco
〜ジブラルタル海峡を超え、
砂漠を目指す旅〜
Edited by
伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
2005年、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行する出版社ダイヤモンド・ビッグ社に入社。編集部にてフランスやドイツ、香港、ロサンゼルス、ハワイなど世界中のガイドブックを制作。2017年に独立、クリエイティブ・ディレクターとして連載や動画ディレクション、トークイベントなど、幅広く旅行コンテンツを発信中。
Instagram
@izawakeiichi
アフリカ大陸の北端に
位置するモロッコ。
アフリカの国の中では
治安もよく、イスラムの戒律も
それほど厳しくないため、
欧米からの観光客も多い。
だが、いくら観光しやすいとはいえ
やはりアフリカはアフリカである。
キリスト教文化圏とは
風習や生活がまったく異なり、
町なかに流れるコーランや、
ヴェールをまとった女性が歩く姿は
異国情緒たっぷりだ。
旅がしやすい国でありながら、
「旅をしている」と実感できる国、
それがモロッコである。
だが、いくら観光しやすいとはいえ
やはりアフリカはアフリカである。
キリスト教文化圏とは
風習や生活がまったく異なり、
町なかに流れるコーランや、
ヴェールをまとった女性が歩く姿は
異国情緒たっぷりだ。
旅がしやすい国でありながら、
「旅をしている」と実感できる国、
それがモロッコである。
さて、関西国際空港からモロッコへは
ヨーロッパや中東の都市を経由して
行く必要があるのだが、
もし時間に余裕があるのであれば、
ぜひスペインから旅を始めてみてほしい。
ジブラルタル海峡をフェリーで渡り、
モロッコのタンジェという港町から
南へ南へと下りていくルートだ。
モロッコとスペインを隔てる
ジブラルタル海峡は、
一番短いところで約14km。
わずか1時間ほどの船旅だが、
このルートで旅をすると、
フェリーを降りた瞬間、
ヨーロッパからアフリカへ、
大陸を渡ったことを実感できる。
そして、モロッコという国は
南下すればするほど
降水量が少なくなり、乾燥していく。
移動の過程で、空気の変化まで
感じることができるだろう。
そして、最後には待ち受けるのは、
あのサハラ砂漠。
そう、この旅のゴールは砂漠なのである。
タンジェからサハラ砂漠まで、
最短ルートでも約1100km。
しかもその道中には
珠玉の町がいくつも点在しており、
思わず寄り道したくなること必至。
中でも必ず訪れてほしい町を
いくつか紹介していこう。
まずタンジェからモロッコに入り、
最初に立ち寄りたいのは
青の町「シャウエン」だ。
ここのメディナ(旧市街)には
かつてユダヤ人が住んでおり、
ユダヤ教で青は神聖な色であることから
すべての建物が青く染められた、という説がある。
その先にある古都「フェズ」も欠かせない。
「世界一の迷宮都市」の異名を誇り、
方向感覚に優れた人でも
迷子になってしまうという旧市街に
「正確な地図は存在しない」そう。
旧市街の入り口、ブー・ジュルード門の
鮮やかなタイルは絶好の撮影スポットだ。
そこから一気に南下して目指すのは
一番人気の観光都市「マラケシュ」だ。
世界遺産にも登録され、
モロッコ観光のハイライトとも言える存在。
「ピンクシティ」とも呼ばれるこの町で、
なるべく長く時間を過ごしてほしい。
中でも、マラケシュの中心にある
ジャマ・エル・フナ広場の喧騒は圧巻だ。
夜な夜な屋台が立ち並び、
大道芸人やベビ使いが芸を披露。
まるで毎日がお祭りかのごとく賑わう。
一方でスーク(市場)や宮殿、庭園などの
見どころも多く、モロッコらしさを
存分に満喫できるのがマラケシュだ。
中でも一番美しいとされるのがバヒア宮殿。
スペインのアルハンブラ宮殿と比較しても
遜色ない、豪華絢爛な装飾である。
鉄道の路線もここで終わり、
いよいよ砂漠に向けて
車でのハードな移動が始まる。
ここからは高低差のある
オフロードの長時間ドライブだが、
その疲れをいとも簡単に
吹き飛ばしてくれる絶景が、
途中に立ち寄る「トドラ峡谷」や
「アイト・ベン・ハッドゥ」だ。
マラケシュを出てから
10時間以上が経過し、
車はようやく最後の町、
「エルズーガ」に到着。
すぐ目の前に山のようにそびえるのが
サハラ砂漠の入り口だ。
ここからはラクダに乗り換え、
砂漠の中のキャンプサイトへと向かう。
最高に美しい旅のクライマックス。
きめ細かやかな砂は、
まるでシルクのような滑らかさ。
ここサハラ砂漠の日没後の星空は
世界中を旅してきた自分でも
一生忘れない風景になっている。
今回おすすめした
スペインから砂漠のルートは
最低でも2週間必要になってしまうが、
時間がない場合は、
マラケシュまで飛行機で飛ぶことで
1週間程度でも渡航が可能。
「砂漠へ行ってみたい」と考えている
すべての人に、ぜひモロッコをおすすめしたい。
・正式国名
モロッコ王国(Kingdom of Morocco)
・首都
ラバト(Rabat)
・通貨
ディルハム(DH)
・言語
アラビア語、ベルベル語が公用語だが、フランス語も広く通じる
・ベストシーズン
夏は気温が高すぎるため、3〜5月、10〜11月くらいが町を歩くのに最適。冬は以外と冷え込むので、羽織る長袖が必要だ。特に砂漠は日中の温度差が激しいので服装には注意。あとは毎年ラマダン(2020年は4〜5月)の時期になると、断食を行いレストランも日中は閉めるところが多くなるので、初渡航の際は避けたほうが無難。
・時差
日本との時差は-8時間。
日本が13時のとき、モロッコは5時。サマータイムは2018年に廃止された。
・ビザ
不要