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KIXから世界のどこまでも。
〜関西国際空港から、いつか行きたい憧れの旅〜
Vol.8
Byron Bay

何もないオーストラリアの
バイロンベイが、人々を魅了する理由。

伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
Edited by

伊澤 慶一(Keiichi Izawa)
2005年、海外旅行ガイドブック『地球の歩き方』を発行する出版社ダイヤモンド・ビッグ社に入社。編集部にてフランスやドイツ、香港、ロサンゼルス、ハワイなど世界中のガイドブックを制作。2017年に独立、クリエイティブ・ディレクターとして連載や動画ディレクション、トークイベントなど、幅広く旅行コンテンツを発信中。
Instagram @izawakeiichi
見どころらしい見どころは何もなく
写真を見ているだけだと、
その魅力は十分には伝わらない。
しかし、一度訪れた者は
必ずこの町に恋をし、
次は1日でも長く滞在したいと願う。
オーストラリアのバイロンベイは、
そんな町だ。
オーストラリアの最東端に位置する
小さな町、バイロンベイ。
関西国際空港からアクセスする場合、
オーストラリア国内もしくは
日本国内で乗り継ぎ、
ゴールドコースト空港から
バスで向かうのが最短ルートである。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
カラフルな空港を出たら
ゴールドコーストとは真逆の南方向へ。
約1時間のバスの旅。
途中、「WELCOME TO BYRON BAY」の
サインが見えたら、まもなくの合図だ。
高層ビルが何十本も立ち並ぶ
ゴールドコーストとは対照的に、
バイロンベイの町には高い建物がない。
これは「町の建築は3階建まで」と
規制により定められているためである。
当然、町にはリゾート施設や
大型ショッピングモールは存在しない。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
さらに町なかには信号が1つもなく、
町民が進出を拒んでいるため
マクドナルドやケンタッキーフライドチキンといった
ファストフードチェーン店も見当たらない。
一見すると、バイロンベイは
ただの小さな田舎町にしか映らないだろう。
見どころとされている観光名所は白灯台。
岬の先端に佇む姿と、
そこからの景色は確かに美しいが、
観光客の数もまばらで、
ここが訪問の主目的ではなさそうだ。
実際、バイロンベイを訪れる観光客は
なんと年間150万人。
一体この町の何が魅力なのだろうか?
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。 何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。 何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。 何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
そこで、バイロンベイの町を歩き
丁寧に観察してみると、あることに気付く。
この町はショップも、カフェも、バーも
すべてがとてつもなく洗練されているのだ。
まるでロサンゼルスやニューヨークの
一角にいるかのような、
高感度な雰囲気のお店ばかり。
人口1万人以下の小さな町バイロンベイで
誰もが驚かされるポイントだ。
実はバイロンベイは、
オーストラリア随一、物価が高い町である。
良質な波と豊かな自然に恵まれているため、
もともとはサーファーやヒッピーが暮らしていたが、
やがて人々の健康・環境意識が高いこの町に
富裕層たちが移り住んできた。
今ではそんな彼らの嗜好を満たすため、
品質の高いファッションブランドや、
おいしいパンやコーヒーを提供するカフェが
この町にたくさん誕生したというわけだ。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
つまり、バイロンベイの魅力は
その「豊かさ」にあるのだが、
アメリカやアジアの大都市で見られる
「便利な豊かさ」とは少し異なる。
高級スーパーは存在せず、町民はみな、
生産者の顔がわかるファーマーズマーケットで
安心できる食材を購入していく。
「見せかけの豊かさ」も存在しない。
この町に住む富裕層は
ブルジョア・ボヘミアンと呼ばれ、
ブランド物で着飾ることもしない。
老若男女問わず毎日夕方のビーチに集い、
ただ楽器を鳴らし、歌い、陽気に踊る。
サーファー、アーティスト、ヨギーニ、音楽家etc.
ジャンルは様々だが、
自由を謳歌するその姿は
一般的に思い描く富裕層と
たいぶかけ離れて見えるのではないだろうか。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
実際、バイロンベイでは町なかを
裸足で歩いている人々がとにかく多い。
砂浜も土もクリーンなこの町では
素足が一番健康的であり、実用的。
高級靴などは不要なのだろう。
「食の豊かさ」についても驚かされる。
例えば、この町のレストランFOLKは
雑誌『VOGUE』や『MONOCLE』でも
取り上げられるほどの超人気店だが、
店内はご覧のとおり木製のテーブルとベンチが
置かれた非常にエコな佇まい。
大切にしているのは、オーガニックであり、
ローカルであり、エシカル(倫理的)であること。
シンプルで、本質的なレストランが
この町では評価されるのである。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
つまり、バイロンベイにあるのは
「本質の豊かさ」である。
不必要なものは削ぎ落として、
人々が暮らしをシンプルに楽しむ姿は、
とてつもなくまばゆく、輝かしい。
世界中見渡してみても、
稀有な豊かさを備えた町だからこそ、
多くの観光客を魅了しているのだ。
見どころはないが、
抜群に居心地が良い町、バイロンベイ。
滞在していて感じるのは、
昨日よりも今日、今日よりも明日と、
日々この町を好きになる感覚だ。
だが、冒頭にも述べたように、
次は1日でも長く滞在したくなる気持ちは
やはり実際に行かないとわからない。
いつかバイロンベイに行ったら
おいしいコーヒーとパンで目を覚まし、
町で人とすれ違えば笑顔を交わし合い、
マーケットの野菜でお腹を満たして、
日が暮れたらビーチで夕焼けを楽しむ。
そんなナチュラルな過ごし方をしてみてほしい。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないオーストラリアのバイロンベイが、人々を魅了する理由。
何もないバイロンベイだから、
何もしない、が正解。
自然のままに過ごす旅。
もちろん足元は、何も履かないで。