2023.9.20
温泉大国である日本は豊かな温泉資源に恵まれ、その源泉数は2万7千を超えると言われています。古くから人々に親しまれてきた温泉は、心身を癒し清めるだけでなく、日本文化として発展してきました。
現在、全国各地に魅力的な温泉が点在し、温泉旅行の計画を立てるにもどこに行こうか迷いますよね。そこで本記事では、専門ライターが厳選したおすすめの温泉地10選をご紹介します。
この記事の目次
日本には、草津温泉や有馬温泉、別府温泉郷をはじめとする名高く有名な温泉地から、あまり知られていない穴場まで、さまざまな温泉地があります。それぞれ泉質が違い、色や香り、効能といった温泉そのものの魅力はもちろん、景色や町並み、名物料理など楽しみ方も千差万別です。
そんな温泉をより満喫するための、マナーや効果について簡単にご説明します。
読んで字のごとく温かい泉ですが、温泉法に定められた定義に当てはめると、地中から湧出する温水(ガス状のものも含む)で、①温度が25度以上あるか、②定められた物質を定められた量含むか、の①②いずれかの条件をクリアしたものが日本では温泉と呼ばれます。
たとえ成分の含有量が少なくても25度以上あれば単純泉という温泉になり、水のように冷たくても規定の成分量を満たしていれば温泉になります。
また含まれる成分の量によって、塩化物泉や硫黄泉といった泉質名が与えられます。
神経痛・筋肉痛・冷え性の改善や疲労回復などがあげられますが、その他にも酸性泉や硫黄泉にはアトピー性皮膚炎、放射能泉には高尿酸血症(痛風)に良いといった泉質ごとの違いもあります。
さらに塩化物泉には塩分が皮膚をコーティングすることから湯冷めしにくい作用があったり、アルカリ性のお湯や炭酸水素塩泉には肌の角質を落とすクレンジング作用があったり、また二酸化炭素泉には血液の循環をアップさせてくれたりと、泉質ごとに得意とする働きがあります。
もちろん温泉に入ってリラックスすると、心が癒されるという大きな効果もありますね。
※温泉で療養をしてはいけない病気や症状(禁忌症)もあるのでご注意ください。
ここでは温泉をより快適に楽しむためのマナーや注意点をご紹介します。
アルカリ性のお湯や炭酸水素塩泉などクレンジング効果に優れた温泉に入った後は、保湿作用のある化粧水・クリームなどでしっかり仕上げをすると良いでしょう。
温泉旅行の楽しみの一つといえば、浴衣姿で温泉街を散策したり、湯めぐりしたりすること。その温泉街がしっとりと和の趣を感じさせ、カランコロンと下駄の音が鳴る石畳だと情緒は満点ですね。こちらのコーナーでは、そんな趣のある温泉街を厳選してご紹介します。
長野県の渋温泉(しぶおんせん)は奈良時代の高僧行基が発見したとされる温泉地。約1,300年の歴史があり、石畳に木造旅館が建ち並ぶメインストリートはノスタルジックで雰囲気抜群。宿にチェックインしたら、ぜひ浴衣で散策してみてください。
ぜひチャレンジしてほしいのが、9つの外湯めぐり。渋温泉には初湯、笹の湯、綿の湯、竹の湯、松の湯、目洗いの湯、七操の湯、神明滝の湯、渋大湯という9ヶ所の外湯があり、泊まった宿で鍵を借り入浴することができます。
湯めぐりの際はぜひ各旅館やお土産物屋などで販売している「巡浴祈願手ぬぐい」を購入して、外湯ごとにスタンプを押してください。九湯のスタンプを集めて「渋高薬師(しぶたかやくし)」にお参りすればご利益があるといわれていますよ!
渋温泉の泉質はお肌の保湿効果がある硫酸塩泉、塩化物泉など。周辺の温泉地と併せて湯田中渋温泉郷(ゆだなかしぶおんせんきょう)と呼ばれることもあり、近くには猿が入浴することで知られる地獄谷もあります。
渋温泉
関西からの行き方(アクセス)
兵庫県の日本海側にある城崎(きのさき)温泉は、飛鳥時代にコウノトリが温泉で傷を癒している姿から発見されたなど諸説あり、江戸時代にはたいそう賑わっていたと記録されています。
現在も関西を代表する温泉地の一つであり、城崎温泉駅から北へ延びる通りや、大谿川(おおたにがわ)両岸には旅館や飲食店が建ち並び、いかにも温泉街らしい趣ある景観を作り出しています。夕暮れ時には川沿いの柳並木や橋がライトアップされ、より幻想的な雰囲気に。若い世代の観光客に人気があるのも城崎温泉の特徴です。
温泉街の風情を楽しみながらめぐれる城崎温泉の外湯は全部で7つ。それぞれ一の湯、御所の湯、まんだら湯、地蔵湯、鴻の湯、柳湯、さとの湯と名付けられています。いずれも趣向を凝らした個性ある建物で、テーマパークのように湯めぐりできます。
城崎温泉の泉質は熱の湯ともいわれる、温まりの強い塩化物泉。冬の味覚であるカニ料理を求めて訪れるお客さんも後を絶ちません。
城崎温泉
関西からの行き方(アクセス)
温泉旅行に行ったら、絶景も楽しみたい!しかもそれがお風呂から見えたら最高ですよね。
日本全国に絶景温泉はありますが、比較的アクセスが良く、たっぷり非日常が感じられる温泉を、北海道の山の温泉と九州の海の温泉からご紹介します!
登別(のぼりべつ)温泉は、良質な温泉が多い北海道でも有数の温泉地。新千歳空港や札幌市内からのアクセスも良く、ホテルや旅館も充実しているのでおすすめです。
またダイナミックな景観が楽しめるところが北海道の魅力。温泉街の北東から広がる地獄谷一帯は、登別温泉の源泉湧出地であり、もうもうと湯けむりを上げる噴気孔やブクブクと源泉の湧きあがる湯だまりは、まさに「地獄」を彷彿させる光景です。
登別地獄谷の遊歩道を進むと、大湯沼川天然足湯に行き着きます。ここは温泉が天然の川となって流れているスポットで、大自然に囲まれながら足湯を楽しむことができます。
また登別温泉の泉質は、硫黄泉、塩化物泉、硫酸塩泉、含鉄泉など、温泉のデパートと言われるほどバラエティに富んでいます。一つの温泉地でいろいろな泉質のお湯に入れるのは嬉しいポイントですね。
登別温泉
関西からの行き方(アクセス)
たまて箱温泉は、温泉街どころか宿泊施設もなく、ヘルシーランド露天風呂「たまて箱温泉」という日帰り入浴施設が一軒あるのみの隠れた名湯です。
露天風呂から海が一望できるという温泉はあまたありますが、たまて箱温泉からは、一切視界を遮られることなく自然が織りなす絶景を拝むことができます。
目の前に広がる海と水平線、遠くには薩摩富士と呼ばれる秀麗な開聞岳(かいもんだけ)、側に目をやるとモクモクと湧きあがる湯けむり、そしてスヌーピー岩と呼ばれるユニークな岩山を見ることができるのです。
この絶景こそが「一度見たら忘れられない絶景」といえるのではないでしょうか。
製塩工場があった場所であり、泉質はしょっぱく濃厚な塩化物強塩温泉です。指宿温泉から近いので、指宿に泊まって日帰りで訪れるのもおすすめです。
ヘルシーランド露天風呂「たまて箱温泉」
関西からの行き方(アクセス)
内緒にしたい、でも誰かに話したくなる......。決して知名度は高くないけれど、行った人は思わず「最高だった」と口にする、そんな温泉地をご紹介します。
羽根沢(はねさわ)温泉は山形県北部の鮭川村にあり、3軒の旅館と1軒の共同浴場、そして飲泉所がある小さな温泉地です。
そして大正時代に石油を試掘しているときに湧きだしたという温泉は、驚くほどとろみがあります。そのとろみのおかげで化粧水が要らないほどに、すべすべのお肌になると評判で「美神の湯」の異名を持つほどです。
さらにこちらの泉質は、硫黄を含む弱アルカリ性の塩化物・炭酸水素塩泉。肌の汚れや角質を落としてくれるだけでなく、しっかり美白や保温もサポートしてくれるお湯。
冬には雪景色も楽しめる羽根沢温泉。近くには「小杉の大杉」という、映画『となりのトトロ』のトトロにそっくりな杉の木があり、セットで観光してみてはいかがでしょう。
羽根沢温泉
関西からの行き方(アクセス)
奈良県は南部に行けば山また山。難読の温泉地としても知られる入之波(しおのは)温泉は、そんな奥吉野の山あいにあり、山鳩湯という1軒宿が建つのみです。
歴史を感じる宿の佇まいからも秘湯の雰囲気がかもし出されていますが、とにかくお風呂を見たら驚くはず。お湯の色は非常に濃いオレンジ色の濁り湯。浴槽は元々どんな材質だったのかもわからないほど温泉の成分が鍾乳石のようにびっしりと表面を覆っていて、まるで陶器のようです。
吉野川に面した露天風呂やお部屋の窓からは雄大な自然を見渡すことができます。
炭酸水素泉の作用でつるんとしたお肌になるとともに、源泉温度が40度弱とぬるめなのでゆっくりと入ることができ、身体の中からじんわりと温まります。
入之波温泉 山鳩湯
関西からの行き方(アクセス)
山あい、渓流沿い、海辺など、多くの温泉は自然豊かな土地に湧き出ています。その中でも特に最高の環境で自然美を堪能できるおすすめの温泉地を2ヶ所ご紹介します。
熊本県阿蘇郡のわいた温泉郷は、涌蓋山(わいたさん)の麓に点在するはげの湯、岳の湯、守護陣温泉、鈴ヶ谷温泉、麻生釣(あそうづる)温泉、地獄谷温泉の総称です。
涌蓋山は九重(くじゅう)連山の西に位置し、山陽の美しさから小国富士と呼ばれることも。地熱にも恵まれ、あたり一面にモクモクと湯けむりが上がり、まさに大地のパワーを感じる温泉地といえます。
またこの温泉郷のいくつかの温泉はお湯の色が青みがかって見えることでも知られています。雄大な涌蓋山の景色と湯けむり、そして青いお湯。これらを一度に楽しめるのがこの温泉郷の最大の魅力です。
泉質は塩化物泉や単純泉などで、多くの宿で掛け流しの温泉が楽しめます。
わいた温泉郷
関西からの行き方(アクセス)
山のわいた温泉郷に対して海の自然美を満喫できる温泉地は、東京都の離島 八丈島の末吉温泉。
ここにあるのは宿泊施設ではなく、八丈町町営の日帰り温泉「みはらしの湯」のみ。島の高台に位置する露天風呂からは、日中も夜も情緒ある景色が広がります。
昼間は八丈島南端の小岩戸ヶ鼻(こいわどがはな)や太平洋を一望でき、日が暮れた夜には、満天の星空を眺めながら温泉を楽しめるのです。
東京都にある絶景温泉というだけで意外性とインパクトがありますが、濁り湯の塩化物強塩泉であるお湯も印象的です。
八丈島には他にも、水着着用で入浴する裏見ヶ滝(うらみがたき)温泉など面白い温泉がいくつかあります。レンタカーを借りて島内ドライブをしたり、八丈富士登山を楽しんだりしつつ、島の温泉めぐりをしてみてはいかがでしょう。
末吉温泉 みはらしの湯
関西からの行き方(アクセス)
地域の食材や名物料理を楽しむのも温泉旅行の醍醐味ですが、気軽に食べ歩きを楽しみたいという方におすすめしたいのは、比較的規模の大きな温泉地。温泉街の中心部に飲食店が集まり、鮮度の良い海鮮、揚げたて・焼きたての軽食や話題のスイーツが味わえます。
静岡県の熱海温泉は温暖な気候と美味しい海産物が揃い、若い世代からも大人気。駅前からレトロな商店街が延びていて、周辺には新鮮な魚介類を使った海鮮丼のお店や、熱海プリン、いちごBonBonBERRYといった話題のスイーツ店も。ぜひ、散策がてら商店街で食べ歩きをしてみてください。
温泉はというと、海沿いという立地だからこそ楽しめる水平線を一望できる露天風呂を備えたホテルや日帰り温泉があります。泉質は塩化物泉や塩化物・硫酸塩泉で、寒い季節でもしっかり身体を温めてくれます。
熱海温泉
関西からの行き方(アクセス)
群馬県の草津温泉は自然湧出量日本一を誇る有名温泉地。源泉が絶え間なく湧き出す大きな湯畑があり、この湯畑を中心に飲食店が集まっています。
温泉饅頭のお店がたくさんあるのも草津温泉の特徴の一つ。温泉卵や焼き鳥の食べ歩きもできます。
また最近は湯畑から徒歩約5分の外湯「地蔵の湯」周辺を再開発し、カフェなどが新設され裏草津として話題にもなっています。
草津温泉の泉質の特徴は、強い酸性泉であること。酸性に加えて硫黄を含む源泉もあり、いずれも殺菌効果がとても高く、肌にピリピリと刺激を感じる人もいるほど。肌が弱い方は湯上がりにシャワーのお湯で軽く流して刺激を押さえても良いでしょう。
草津温泉
関西からの行き方(アクセス)
温泉は山や海だけでなく、実は空港の近くにもあります。飛行機の待ち時間に、あるいは到着してからのリラックスタイムにぴったりな空港近くの温泉を2ヶ所ご紹介します。
「新千歳空港温泉」の一番の利点は、空港内にあること。国内線ターミナルビルの4階にあるので、空港に到着したらすぐに入浴できます。
浴室には内湯、露天風呂、サウナ、水風呂、ジェットバスなどがあり、シャンプーなどのアメニティも備えられています。湯上がりはリラックスルームでのんびり休憩でき、お食事処もあるので飲食も可能。要予約ですが宿泊施設としても利用できます。
新千歳空港温泉
関西からの行き方(アクセス)
「アクアイグニス関西空港」は、関西国際空港から一駅のりんくうタウン駅最寄りの日帰り温泉施設。
弱アルカリ性単純温泉の泉質はお肌をスベスベにすることから「美人の湯」と言われており、露天風呂からは大阪湾のオーシャンビューを楽しむことができます。
空港から近くとても便利なのに、入館料がお手頃という点も嬉しいポイントですね。
アクアイグニス関西空港
※GW・お盆・年末年始などの特別期間については土日祝料金となります。
関西からの行き方(アクセス)
日本には魅力的な温泉地が多く点在し、この記事内では紹介できていない素晴らしい温泉地がたくさんあります。
場所によって雰囲気や泉質も違い、楽しみ方もさまざま。まだ訪れたことがない温泉地があれば、ぜひ足を運んでみてください。
※本記事は2023年8月17日現在の情報です。
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