2023.1.19
FLY from KANSAI編集部
東北地方の日本海側に位置する秋田県。四季折々の大自然や、名湯と謳われる温泉、歴史ある町並みなどが広がる、魅力の多い地域です。
今回は、秋田の楽しみ方を丸ごとご紹介!関西からのアクセス方法や人気スポット、地元職員の方へのインタビューなど、盛りだくさんの内容でお届けします。
この記事の目次
関西から秋田県に行くなら飛行機がおすすめ。鉄道では約7時間かかるのに対し、飛行機なら80〜90分で到着します。大阪国際空港(伊丹空港)からは、1日6便が就航しているので、旅のプランも立てやすく利便性も高いのではないでしょうか。
秋田は電車やバスの本数が少ないところもあるので、レンタカーやタクシーを活用すると良いでしょう。公共交通機関を利用する際は、事前にルートや時刻表をしっかりチェックしておくと安心です。
南北に長く、エリアごとに異なる風土や文化を持つのが秋田県の特徴です。藩政時代に建てられた武家屋敷が多く残り、「みちのくの小京都」と呼ばれる風情ある町並みが楽しめる角館(かくのだて)や、山間に7つの湯宿が点在する乳頭温泉郷をはじめ、多くの観光名所があります。
豊かな自然も見どころ。秋田県と青森県にまたがり、ブナ原生林が世界自然遺産に登録されている白神山地や、国立公園に指定されている十和田湖、八幡平(はちまんたい)、整った山容「日本百名山」のひとつに数えられ、登山にも非常に人気な鳥海山などが有名です。先述の乳頭温泉郷のほかにも、名湯・秘湯と呼ばれる温泉にも恵まれています。療養地としても親しまれてきた玉川温泉や、県内最古の秋の宮温泉郷、海水に似た塩分を含む男鹿温泉郷など、バリエーション豊かな温泉が県内各地に点在しています。
地域に根差したお祭りも多く、国の重要無形民俗文化財に指定されているものが17件と全国最多!大晦日の夜に行われる男鹿(おが)のなまはげは、秋田らしい民俗行事として知られています。このほか、昔ながらのかまくらがつくられる横手の雪まつり、約400年の歴史を持つ湯沢市の犬っこまつりなど、雪深い秋田ならではのお祭りも見ごたえがあります。
毎年8月に行われる秋田竿灯(かんとう)まつりは、東北三大祭りに数えられる勇壮なお祭りです。「ドッコイショー、ドッコイショー」の掛け声と共に、稲穂に見立てた約280本の竿灯が並び、差し手と呼ばれる人たちが肩や手のひらなどを使って力強い演技を披露します。
8月の最終土曜に行われる大曲の花火は、全国の花火師たちが腕を競う権威ある全国花火競技大会。開催地である大仙市では四季を通して花火が打ち上げられ、「花火のまち」として知られています。
秋田県と言えば、「あきたこまち」をはじめとするお米を思い浮かべる方が多いかもしれません。良質な水に恵まれた有数の米どころであることはもちろん、日本酒の蔵元が県内各地にあり、味や種類が豊富にそろいます。雪深い秋田では、長い間雪に閉じ込められる生活が続きます。そんな長い冬を越すための保存食としてうまれた発酵食も色濃く根付いており、大根を燻してつくるいぶりがっこや、ハタハタなどの小魚を発酵させた魚醤のしょっつるは秋田の特産品です。ごはんを潰し、串に巻いて焼いた「きりたんぽ」が入ったきりたんぽ鍋や、日本三大うどんの一つである稲庭うどんなど、豊富な郷土食も旅の楽しみのひとつですね。
多彩な魅力がある秋田県。大阪国際空港(伊丹空港)では、秋田県の素晴らしさがたっぷり詰まった「雪まつり」が1月21日(土)・22日(日)の2日間にわたって開催されました。イベント担当を務める横手市観光おもてなし課の佐藤秀人さんに、イベントの内容と地元・横手市や秋田の魅力についてお話を伺いました。
大阪国際空港(伊丹空港)で開催される「雪まつり」とは、どんなイベントなのでしょうか?
佐藤さん: 冬の秋田県を大阪の方に感じていただくイベントで、このたび5回目を迎えます。コロナ禍で中止が続き、今年は3年ぶりの開催となります。
イベントの見どころを教えてください。
佐藤さん: まずご覧いただきたいのは、秋田の冬の2大風物詩と言える「かまくら」と「なまはげ」です。かまくらは、横手市が誇るかまくら職人が本場のかまくらを再現しますよ。男鹿市のなまはげは、大晦日の晩にやってくる来訪神です。「泣ぐ子はいねがー」のセリフは関西の方も聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。イベント当日は、なまはげ太鼓の実演を楽しんでいただきます。
会場には、そり遊びや雪だるまづくりをお楽しみいただける雪の広場を設けます。雪玉のプレゼントもありますよ。グルメコーナーでは、特産品の物産展のほか、きりたんぽや大鍋たっぷりにつくるいものこ汁といった温かいフードメニューをご用意しています。横手のソウルフードである「横手やきそば」も登場する予定です。
盛りだくさんのイベントですね!
佐藤さん: そうなんです。雪に馴染みのない関西の方にとても好評で、毎年1万3〜4千人もの方にご来場いただいています。コロナ禍で中止が続いた分、今年は特に私たちの気合も十分です!
せっかくなので、今日は地元・横手市の魅力についてもお聞かせください。横手市のかまくらとは、どんなものなのでしょうか。
佐藤さん: 横手のかまくらはもともと水神様を祀る小正月の伝統行事で、約450年の歴史があると言われています。現在は「横手の雪まつり」として、毎年2月15・16日の夜に行われます。横手城跡(横手公園)をはじめ、市内各所に直径3.5m、高さ約3mの大きなかまくらが80基ほどつくられ、中では子どもたちが「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」と声をかけながらあまえこ(甘酒)やお餅をふるまいます。
伝統行事が発展したものなのですね。
佐藤さん: そのとおりです。かまくらは、かまくら職人が1ヶ月かけて準備します。大人が5人くらいは入れますね。川沿いには約3,000基のミニかまくらも登場します。こちらは、地元の子どもたちやボランティアの方がつくり上げる、まさに地域をあげてのお祭りなんです。夜になり、中に灯りがともるとすごく幻想的ですよ。横手のかまくらは、スケールの大きさ、美しさ共に日本一だと私は思っています!
横手市に来たら必ず立ち寄ってほしい、というスポットがあれば教えてください。
佐藤さん: 横手市増田まんが美術館は、全国でも珍しい施設なのでぜひお立ち寄りください。40万点以上ものマンガ原画を収蔵している、マンガ原画をテーマにした美術館です。常時70人以上の漫画家の原画を展示していて、企画展やワークショップも充実していますよ。国内外の観光客からとても人気で、遠方から毎年何度も訪れるというリピーターもいらっしゃるほどです。
横手市増田まんが美術館
1年中かまくらを体験していただける、横手市ふれあいセンターかまくら館もおすすめです。マイナス10度の部屋に、横手の雪でつくったかまくらが1基とミニかまくら2基が設置されています。室内は本場の冬よりもさらに寒いので、館内で「はんてん」を借りて記念撮影をお楽しみください。
横手市ふれあいセンターかまくら館
大阪の雪まつりでもお目見えする横手やきそばは、横手グルメの定番中の定番です。太くて真っすぐなゆで麺を使用し、ウスターソースをベースにした各店オリジナルのソースで仕上げた庶民の味です。市内には数十軒のお店がありますが、毎年「横手やきそば四天王決定戦」が行われ、切磋琢磨しながら美味しさを磨いています。
1日散策するとすれば、どんなコースがおすすめでしょうか。
佐藤さん:横手市増田まんが美術館を鑑賞したあと、増田の町並みを散策するコースはいかがでしょう。増田地域は古くから物流の拠点として栄えた地。特に中七日通りには明治から昭和初期に建てられた家屋や内蔵が今も残り、国の伝統的建造物群保存地区にも選定されています。
豪雪地帯ならではのつくりや豪華な意匠は見ごたえがありますよ。見学可能な家屋は一般家庭が多く、家主さんが直接説明してくださるところもあります。地域の方との交流もぜひ楽しんでほしいです。近くに試飲ができる酒蔵や伝統的な発酵食を楽しめるレストランがありますので、こちらもぜひ。
ちょっと通な楽しみ方も知りたいです。横手で体験できるオススメがあれば教えてください。
佐藤さん: 四季がはっきりしている横手は、美味しい果物の宝庫です。市内各地には果物狩りを実施している果樹園もあります。夏はさくらんぼ、秋はリンゴやブドウが美味しいですよ。特にリンゴは雪まつりでも人気商品で、リピート買いしてくださる方も多いです。果物100%の濃厚なジュースはお土産にも最適です。
横手市の山内地域は、秋田の冬の味覚である「いぶりがっこ」の発祥の地と言われていて、製造体験や見学ができます。11月〜12月のシーズンに各家で燻し作業の煙が立ち上る様子も風情があって喜ばれます。いぶりがっこは地域や家によってつくり方や味が違うので、食べ比べも面白いかもしれませんね。
そうそう、最近メディアでも取り上げられ、「面白い」と言っていただけるものがありますね。秋田県には「何でも固めたがる寒天文化」が存在します。ポテトサラダやミニトマト、玉子の寒天は昔から親しまれています。さらに最近では、横手やきそばの寒天も登場しました。道の駅十文字にはたくさんの寒天商品が並んでいますので、ぜひご当地の味を確かめてみてください。
「雪まつり」でご一緒されるよしみで、男鹿市のおすすめスポットも教えていただけますか。
佐藤さん: 男鹿といえば、なまはげ。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている、伝統ある民俗行事です。男鹿真山伝承館では、築100年の曲り家で、なまはげの来訪から人々を戒めるまでが実演され、その意義や本来のしきたりを体験することができます。家主とのかけあいや、なまはげの迫力を間近でご覧いただけますよ。
隣接するなまはげ館では、男鹿の各地区で実際に使われたなまはげのお面150枚が一堂に会する資料館です。面白い顔、怖い顔、それぞれの地域の個性的なお面をじっくり見ることができますし、企画展示やデジタルなまはげ変身コーナーなども楽しめます。
横手が内陸部であるのに対し、男鹿半島は海沿いの景勝地です。寒風山回転展望台やゴジラ岩といったビュースポットには事欠きません。海沿いのドライブや、新鮮な魚介も魅力だと思います。男鹿水族館GAOも観光スポットとして人気ですね。ホッキョクグマやアザラシ、ペンギンなどのほか、秋田の県魚であるハタハタの展示も行われていて、見どころ満載です。
男鹿市は横手市とはまた違った楽しみがありますね。
横手市はもちろん、男鹿市についても見どころをたくさん教えていただきありがとうございます!最後に、秋田県民として地元の魅力を語っていただけますか。
佐藤さん: 秋田県は南北に広く、同じ県内でも地域によって気候や風土、言葉も全然違います。例えば、横手市は秋田でも屈指の豪雪地帯ですが、男鹿市はあまり雪が降りません。そのため、当然暮らしや風習も異なります。観光の際は、数日かけて複数のエリアを巡ると面白いと思います。
春は桜、夏は秋田竿灯まつりをはじめとするバラエティに富んだ夏祭り、秋は紅葉や果物狩り、そして冬の雪に、良質な雪解け水がもたらす米と酒。秋田の魅力は四季折々に多彩で、とても語りつくせませんね。ぜひ何度でも足をお運びください。
雪まつり当日の様子
2023年1月21日(土)・22日(日)の2日間、3年ぶりとなる「大阪国際空港 雪まつり」が開催され、のべ2万人を超える多くの方にご来場いただきました。
地域や季節によって、さまざまな絶景が楽しめるのも秋田の魅力です。豊かな自然が織り成す風景や美しすぎる図書館まで、SNSでも話題となっている絶景ポイントをご紹介します。
@____amerinco____aさんの投稿より
他の投稿を見る田沢湖は、周囲約20km、深さ423.4mと日本一の深さを誇る湖です。透明度が高く、神秘的な瑠璃色が印象的な湖は、「たつこ姫伝説」でも知られています。村娘の辰子が美と若さを保ちたいと大蔵観音に願いをかけました。
お告げのとおりに泉の水を飲んだところ、大きな龍に姿を変え、田沢湖の主となったという伝説が残っています。湖上には黄金のたつこ像がたち、田沢湖のシンボルとして親しまれています。湖畔にはたつこ伝説にまつわる神社や観音像などが点在し、美や縁結びのパワースポットとしても人気があります。
美しい景色を眺めながらのドライブや、遊覧船で周辺の山並みと湖の調和を楽しむのがおすすめです。
田沢湖
秋田市にキャンパスを構える国際教養大学内にある図書館。「本のコロセウム」をテーマに「本と人との出会いの場となる劇場空間」としてデザインされた美しい建物は、建築家の仙田満氏によるもので、グッドデザイン賞や国際建築賞2010など、多くの賞を受賞しています。秋田杉をふんだんに使い、伝統技術が生かされた傘型の屋根がとても印象的。
半円状の本棚に並ぶ本は8万冊以上あり、円の中心部に立つと壮観です。木の温かみあふれる空間は、利用者に落ち着きと安らぎを与えてくれます。学生は24時間365日利用できるほか、一般の利用も可能です。(一般利用者は曜日により利用可能時間が異なります。)
中嶋記念図書館
(左)@estrella1868さんの投稿より
(右)@sprout571さんの投稿より
八幡平(はちまんたい)とは、秋田県と岩手県にまたがる台地状火山のこと。火山帯ならではの自然の風景が広がり、温泉にも恵まれたエリアです。その頂上付近にある鏡沼では、5月下旬から6月上旬にかけて「ドラゴンアイ」と呼ばれる現象が起こります。
ドラゴンアイは、沼を覆うほどに積もった雪が、春になって中心部が溶け、天候や光の状況などの条件が絶妙なバランスを保ったときに「開眼」します。晴れた日はエメラルドグリーンの鮮やかな水面が美しく神秘的です。近くにはエメラルドグリーンに輝く「メガネ沼」もあり、「ドラゴンの涙」と呼ばれ共に人気を博しています。
八幡平ドラゴンアイ(鏡沼)
秋田港から車で約10分の位置にある広々とした公園です。洋上に風力発電施設や、ヨットハーバー、鳥海山を望む絶好のロケーション。その名のとおり、日本海に沈む夕日は息をのむほどの美しさです。公園内の小高い丘の上に東屋があるほか、海沿いにベンチも設置されているので、海を眺めながらゆったりと過ごすことができます。
飯島サンセットパーク
観光スポットや自然、地元目線のインタビュー、知る人ぞ知るSNS映えスポットまで、秋田の魅力をたっぷりとお届けしました。季節ごと、エリアごとに楽しみもさまざま。歴史やグルメ、温泉など、自分好みのテーマを決めて旅のプランを立ててみてはいかがでしょうか。お出かけの際は、ぜひ便利な飛行機をご利用ください。