2024.5.27
この記事の目次
花巻は岩手県のほぼ中央に位置する市で、豊かな自然、温泉、そして四季折々の美しい風景を楽しむことができます。
また「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」など多くの童話や詩を残した作家・宮沢賢治の出身地としても知られており、賢治の生涯や、彼の世界観を感じることができる場所が数多く存在します。
この記事では、花巻の自然や文化を味わうことができる王道のモデルコースや、名物の温泉や穴場スポットを楽しめるコースをご紹介します。
関西からいわて花巻空港へ向かう飛行機は、大阪国際(伊丹)空港、神戸空港から就航していて、フライト時間は1時間半から2時間前後です。
大阪国際空港からはJAL、神戸空港からはFDAが運航しています(※2024年3月現在)。
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花巻市は、夏は暑く湿度が高い、冬は非常に寒く降雪が多いという特徴があり、年間を通して平均気温は-7°C〜29°Cの間で推移します。
観光におすすめな時期は4月上旬〜9月上旬。10月以降は急激に気温が低下し、真冬のような気候になることもあるので注意が必要です。
春は草木が芽生え始め、穏やかな気候です。この季節の平均気温は7°C〜14°Cと比較的過ごしやすく、自然散策やお花見などのアウトドア活動に最適な季節。特に花巻温泉では、約500本のソメイヨシノやしだれ桜の並木道があり、満開の桜並木を楽しむことができます。
花巻市は岩手県有数の豪雪地帯で、雪解けが遅いので3月にはまだ雪が残っていることもあります。完全な春の訪れは4月に入ってからです。
夏の平均気温は20°C〜28°C。日中は暑くなることもありますが、夜になると比較的涼しく、過ごしやすくなります。
夏でも屋外での活動を楽しむことができる、暑さから逃れるのにぴったりの気候です。
野菜や果物、魚介類など自然の恵み豊かな季節でもあり、特に夏野菜を使った料理や地元の川魚を味わえる機会も多く、花巻ならではの季節の味覚を楽しむことができますよ。
秋の気温は10°C〜17°C程度。紅葉の美しい、涼しく過ごしやすい季節です。秋祭りや地域のイベントも多く開催されます。
9月には430年の歴史を誇る一大イベント「花巻まつり」が開催されます。世界記録を樹立した100基以上の壮大な神輿や、美しい風流山車(ふりゅうぐるま)が街中を練り歩く姿は圧巻。古くから伝わる鹿踊(ししおどり)や神楽権現舞(かぐらごんげんまい)、優雅な花巻ばやし踊りなども催される、とても華やかなお祭りです。
また花巻周辺は農業が盛んなので、新米、さつまいも、リンゴなど、秋の味覚を楽しむこともできます。
冬は、東北地方特有の冷え込みと雪が特徴的です。この時期は、一面雪に覆われた景色が広がり、静かで落ち着いた雰囲気に包まれます。
最低気温は-6°C程度まで下がり、時には厳しい寒さに見舞われることもありますが、その寒さが生み出す冬景色の美しさは格別です。
特に岩手山やその周辺の山々は、登山やスキー、スノーボードなどのウィンタースポーツが盛んな地域です。雪祭りなど冬のイベントも開催されますよ。
また、なんといっても温泉が花巻の冬の大きな魅力のひとつ。冷え切った体を温め、冬の寒さを和らげる温泉は、この地域に古くから伝わる文化です。露天風呂で雪景色を眺める「雪見温泉」は、冬ならではの風情を楽しむことができます。
雄大な自然に触れながら、宮沢賢治ファンであれば一度は行っておきたい、賢治ゆかりの地を巡る花巻の王道プランをご紹介します!
いわて花巻空港
車(約9分)
宮沢賢治記念館・ポランの広場
徒歩(約1分)
宮沢賢治イーハトーブ館
徒歩(約5分)
宮沢賢治童話村
宮沢賢治記念館は1982年、花巻市の胡四王山にオープンした施設で、宮沢賢治の生い立ちや作品に触れることができます。
この記念館では、スクリーン映像や関連資料が科学、芸術、宇宙、宗教、農業の5分野に分けて展示されており、賢治の創作過程やこれまでの研究成果などを知ることができます。
施設内には展示のほかにもお土産コーナーや喫茶スペースがあり、記念館の南側には賢治の作品から名付けられた「ポランの広場」があります。
ポランの広場にある「南斜花壇」と「日時計花壇」は、賢治が遺した設計書をもとに再現されたもので、周囲にはコスモス、ひまわり、ユリなどのさまざまな花が植えられています。
自然の美しさを楽しむだけでなく、季節の変化・自然との調和といった、賢治の作品に込められた深いテーマに触れられる空間です。
宮沢賢治記念館
宮沢賢治記念館のすぐ近くにある「宮沢賢治イーハトーブ館」には、賢治作品に関する多くのアート作品や研究論文が展示されています。
「イーハトーブ」とは、賢治が創り出した架空の地名。故郷である岩手県をモデルに、美しい自然、豊かな文化、そして人々の心温まる生活がある「理想郷」を指す言葉です。
賢治の文学世界において、イーハトーブは平和と調和、そして自然との共生を象徴する場所として描かれています。
館内に併設されているシアターでは、賢治作品をモチーフにした短編映画やアニメーションが上映されており、無料で鑑賞することができます。
絵本や詩集が読み放題のライブラリーもあり、賢治の深い世界観に没頭することができるスポットです。
また、賢治作品の童話絵本や研究書、CD、ビデオの販売、各種講演会や研究発表会、賢治祭や賢治生誕祭でのコンサートなど、さまざまなイベントが行われています。
カフェスペースでは軽食を取りながら、自然豊かな眺望を楽しむこともできます。
宮沢賢治イーハトーブ館
宮沢賢治童話村は、宮沢賢治の幻想的な童話の世界を体験できる「楽習」施設です。
施設内では、銀河ステーションや賢治の学校、妖精の小径など、賢治の童話に登場するさまざまなキャラクターや世界観を再現したエリアが設けられています。
特に「賢治の学校」は、賢治の世界観をテーマにした「ファンタジックホール」「宇宙の部屋」「天空の部屋」「大地の部屋」「水の部屋」の5つのゾーンで構成されており、賢治の童話の中に迷い込んだような体験ができます。
またカラフルなミニSLで、「銀河鉄道の夜」の登場人物、ジョバンニやカムパネルラになりきった写真を撮ることもできますよ。
宮沢賢治童話村
※童話村敷地内、賢治の教室は入館料無料
花巻は癒しとグルメの宝庫。特に花巻温泉郷は、車なしでもJR花巻空港駅からバス1本でアクセス可能なんです。
歴史ある温泉地を巡りながら、地元の味覚を堪能し、日常の喧騒から離れてリフレッシュするプランをご紹介します。
いわて花巻空港
バス「岩手県交通」(約7分)
JR花巻空港駅
バス「岩手県交通」(約9分)
花巻温泉バラ園
徒歩(約15分)
釜淵の滝
バス「岩手県交通」(約20分)
やぶ屋花巻総本店
花巻温泉バラ園では、450種類以上のバラが栽培されており、色とりどりに咲き誇ります。「ハッピーローズ88」や「カクテルローズ」など、花巻温泉バラ園で開発されたオリジナル品種もあり、カラフルなバラの美しさと香りに満ちた空間を楽しむことができます。
春と秋には「バラまつり」があり、春は5月下旬〜6月、秋は9月〜10月に開催されます。また夏から秋にかけては、バラ園をライトアップした「ナイトローズガーデン」も楽しめます。
バラ以外の見どころも豊富で、特に「恋人の聖地サテライト」に選定されたことにちなんで設置されたモニュメントは、記念写真を撮るのにおすすめのスポットです。
入園は無料。無料の駐車場も完備されており、一日中楽しめる場所となっています。また温泉施設に隣接しているため、バラを楽しんだ後に温泉でリラックスすることもできますよ。
花巻温泉バラ園
※冬季期間は午前8時〜午後4時30分
釜淵の滝は、花巻温泉から徒歩約10分、花巻温泉を流れる台川沿いにあります。夏には涼やかな緑、秋には美しい紅葉、冬には雪景色と四季折々に変化する景色が魅力的なスポットです。
高さ約8.5メートル、幅約30メートルの大きな岩の上を清流が幾筋にも分かれて滝壺に落ちる様子が特徴的。
この風景は、2005年3月に国の名勝に指定された「イーハトーブの風景地」のひとつで、宮沢賢治ゆかりの景勝地としても知られています。
釜淵の滝周辺は遊歩道になっており、木漏れ日の中を歩ける手軽な散策コースが設けられています。滝見台も設置されているため、滝を間近に感じることができます。
宮沢賢治の詩作品「台川」に「釜淵まで行く」という一節があり、現地には賢治の詩碑が設置されています。釜淵の滝は宮沢賢治のファンにとっても特別な意味を持つ場所となっています。
釜淵の滝
江戸時代から400年以上の歴史を持つ、花巻発祥のわんこそば。
「やぶ屋花巻総本店」は1923年に創業した老舗で、現代のような「お椀を重ねる」スタイルのわんこそばを全国で初めて提供したことで知られています。
わんこそばは、お給仕が1杯ずつ蕎麦をお椀に入れていくいわゆる食べ放題のスタイルで、100杯平らげると「横綱」に認定されます。
蕎麦以外にも和食全般を提供しており、花巻市民の「お食事処」として今なお愛されている名店です。
ちなみにこちらのお店は、宮沢賢治も常連として通っていたという老舗で、よく弟の清六や農学校の生徒たちを連れて「天ぷらそばとサイダー」の組み合わせを好んで注文したと言われています。
やぶ屋花巻総本店
※定休日前日は午前10時30分〜午後3時(ラストオーダー 午後2時30分)
地元で醸造される地酒や、セレクトされたワインを堪能しながら、ゆったりとした時間を過ごすことができる穴場スポットを巡るプランです。
自然に囲まれた隠れ家的スポットや、歴史を感じる美しい景観の中でたっぷり癒される旅をご紹介します。
いわて花巻空港
車(約14分)
南部杜氏伝承館
車(約18分)
エーデルワイン
徒歩(約6分)
ミルク工房ボン・ディア
花巻市の北部・石鳥谷町に拠点を置く南部杜氏は、越後杜氏、丹波杜氏とならぶ日本三大杜氏のひとつです。
「南部杜氏伝承館」は、古くから伝わる酒蔵を土蔵造りの建物で再現しており、日本酒の醸造に使われる伝統技術を伝える施設です。
館内では直径約2メートルの仕込み用の桶をはじめ、酒造用具が展示されているほか、南部杜氏の歴史や酒造りが動画でわかりやすく紹介されています。
また日本酒の試飲コーナー(有料)や酒ケーキ、酒アイスクリーム、試飲したお酒を販売する「酒匠館」も併設されているので、日本酒好きの方にはたまらないスポットですね。
南部杜氏伝承館
花巻市の北東部・大迫町に位置するエーデルワインは、1962年に設立された歴史あるワイナリーです。
「大迫町を日本のボルドーに」という想いから、地元の規格外ブドウを使ってワイン造りが始まったそう。地元のブドウ農家と協力して、品質の高いワインが製造されています。
2018年、2019年には世界最大級の規模を誇る「ウィーン国際ワインコンクール」において、日本で唯一1つ星を獲得するなど、その品質と評価は非常に高く、注目を大きく集めました。
また敷地内にある直売所「ワインシャトー大迫」では、例年9月中旬に「おおはさまワインまつり」が開催されています。
エーデルワイン
盛岡と遠野・沿岸方面をつなぐ国道398号線にあるミルク工房ボン・ディアでは、大迫産「ブラウンスイス牛」のしぼりたて生乳を100%使用した「ボン・ディアソフト」を楽しむことができます。まろやかで濃厚な風味が特徴でありながら、甘さは控えめで後味がさっぱりしていると大人気です。
ソフトクリーム以外にも生きた乳酸菌が入った「岩手早池峰のむヨーグルト」も人気で、ネット通販でも購入することができます。
ミルク工房ボン・ディア
世界遺産に登録された中尊寺や、歴史あふれる平泉の旧街道を巡ります。自然の美しさとともに、平安時代から続く豊かな歴史に触れることができるプランです。
いわて花巻空港
車(約25分)
丹内山神社
車(約57分)
中尊寺
車(約24分)
猊鼻渓
丹内山神社は岩手県花巻市の東部、東和町にあり、平安時代に弘法大師(空海)の弟子である日弘によって創建されたと伝えられています。
かつては大聖寺と呼ばれていましたが、明治維新時に現在の名前に改められました。この神社は、藤原清衡公も深く信仰していたとされ、本殿や厨子(ずし)名工・千葉八重郎による壁画の彩色壁彫刻は岩手県の有形文化財に指定されました。
多くの歴史的人物による信仰が厚く、坂上田村麻呂の東征の際にも社殿が改築されたという歴史があります。特にアラハバキ神を祀ることで知られ、その強いパワーを持つとの言い伝えがあるほか、「七不思議」の伝説が伝わる、パワースポットとしても注目されています。
丹内山神社
中尊寺は岩手県平泉町にある天台宗の東北大本山です。平安時代の美術、工芸、建築の粋を集めた金色堂をはじめ、多くの文化財を有しています。
円仁によって開山され、実質的な開基は藤原清衡とされています。内部には、藤原清衡をはじめとする奥州藤原氏三代の記念碑があり、彼らを偲ぶ場所となっています。
敷地奥にある金色堂は、1124年に上棟された中尊寺の中心的な建築物です。平安時代の工芸と建築の精華を集めた建築は国宝に指定されており、当時の華やかな文化を今に伝えています。
2011年には「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」の一部として世界遺産にも登録されました。
中尊寺
※30名以上は1割引、100名以上は2割引
猊鼻渓は岩手県一関市に位置する砂鉄川沿いにある、全長約2キロメートルにおよぶ渓谷です。峡谷出口近くの侵食された鍾乳石が獅子の鼻に似ていることがその名の由来。
特徴的なのは、高さ約50メートルを超える石灰岩の岸壁。鍾乳洞も見られる美しい自然景観は、国の名勝に指定されています。奇岩や滝が点在し、紅葉や藤の名所としても人気のある場所です。
特に舟下りでは、船頭が猊鼻追分を謡いながら船を操るという、国内でも珍しい体験ができますよ。
猊鼻渓
※障がい者手帳提示で一般料金の半額(大人1,800円 → 900円。本人のみ)
遠野エリアは、日本の原風景をそのままに残す土地で、深い歴史と豊かな民話に触れることができます。
遠野の探訪は、まるで時間旅行のよう。日本の原風景や遠野物語を愛するあなたにぴったりのプランをご紹介します。
いわて花巻空港
車(約28分)
めがね橋
車(約28分)
伝承園
車(約3分)
徒歩(約8分)
カッパ淵
遠野市宮守町にあるめがね橋は、1943年に完成した長さ107.3m、高さ17.8mの宮守川橋梁です。
この5連のアーチ構造は、1915年に建設された岩手軽便鉄道の鉄橋の一部として知られており、2014年〜2023年までは「SL銀河」の運行が多くの人を楽しませていました。
日没後〜午後10時までは橋全体がライトアップされ、イベント開催時などには色が変わることも。
2020年には一般社団法人 夜景観光コンベンション・ビューローによって、岩手県内では2番目となる「日本夜景遺産」に選ばれました。
また、ライトアップされた夜景遺産としては錦秋湖大滝ライトアップ(西和賀町)とともに県内初の認定となった人気のスポットです。
めがね橋
伝承園は、岩手県遠野市にある「曲り家、水車、養蚕、昔ばなし、神様、しきたり」などの昔の遠野の人々の生活文化を守り、後世に伝えることを目的とした施設です。
園内には、国の重要文化財指定の南部曲り家「菊池家住宅」や、遠野物語の話者・佐々木喜善の記念館などがあります。
また、遠野名物の伝承料理を囲炉裏と座敷で楽しめるほか、遠野のお菓子やオリジナルグッズなどのお土産も販売されています。遠野のふるさとの原風景を体験できる場所です。
伝承園
※障がい者の方と同数の介護者は無料(障害者手帳が必要)
カッパ淵は遠野市土淵町の常堅寺裏を流れる小川の淵で、人々にいたずらをするカッパが多く住んでいると伝えられている場所。遠野のカッパは赤い口に、鳥のような声をしているのが特徴だと言われています。
付近にある伝承園近くで「カッパ捕獲許可証」を購入し、キュウリを使った伝説のカッパ釣り体験を楽しむこともできます。
茂みに覆われ清らかな水が流れるカッパ淵は、どこか神秘的な雰囲気を醸し出しています。
カッパ渕
※伝承園、遠野風の丘などで購入可能です。
四季の魅力あふれる観光地「花巻」の歴史的な背景と文化的な魅力について、王道のモデルコースや、穴場スポットをご紹介しました!
いわて花巻空港へは大阪国際(伊丹)空港と神戸空港から、毎日複数の便が運航しており、関西からのアクセスの良さも魅力です。ぜひ次の旅行は花巻へお越しください!
※本記事は2024年3月28日現在の情報です。
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