モロッコ観光初心者必見!マラケシュ・カサブランカなど都市ごとのおすすめスポット&グルメ
2024.7.17

加藤 尋子

この記事の目次
- モロッコってどんなところ?
- 幻想的な青い街・シェフシャウエンを散策しよう
- エキゾチックな赤い街・マラケシュの観光スポット
- モロッコ最大の都市・カサブランカの観光スポット
- 世界一迷子になる!?フェズの観光スポット
- 日本人にも馴染みアリ!絶対食べたいモロッコグルメ
- まとめ
モロッコってどんなところ?

モロッコはアルジェリア、西サハラと国境を接し、ジブラルタル海峡を隔ててスペインを望む北アフリカの国。モロッコ・アルジェリア・チュニジアの3国を総称して「日の没する大地」の意味をもつ「マグレブ」と呼ばれ、その最も西に位置するのがモロッコです。まさに「日出づる国」と言われた日本と対称の位置にあります。
先住民族とされるベルベル人のベルベル文化、アラブ文化のほか、1912年から1956年までスペインとフランスに領有されていたためヨーロッパ文化も色濃く存在。モロッコの中央部を走るアトラス山脈、南部に広がるサハラ砂漠、そして各都市で全く異なった表情を見せてくれるのもモロッコの魅力です。
モロッコの概要
- 時差
- 8時間
※日本が8時間進んでいます(ラマダン時は9時間)
- 言語
- 公用語:アラビア語、フランス語
- 通貨
- MAD(モロッコ・ディラハム)
1MAD=約15円(2024年4月22日時点)
関西からどうやって行けるの?
日本からモロッコへの直行便はなく、中東やヨーロッパの主要都市を経由して、最大都市カサブランカへ向かうのが一般的です。関西国際空港からはカタール航空やエミレーツ航空などの利用がおすすめです。フライト時間はトランジットの時間も含めると約20時間です(2024年6月現在)。
航空会社 | 就航ルート |
---|---|
カタール航空 | 大阪/関西(KIX) → ドーハ(DOH)→ カサブランカ(CMN) |
エミレーツ航空 | 大阪/関西(KIX) → ドバイ(DXB)→ カサブランカ(CMN) |
モロッコ観光の注意点
季節
アフリカ大陸に位置するため年中猛暑であると思われがちですが、日本と同じく四季があります。
春は花が咲き乱れ、夏は灼熱の太陽が、秋にはフルーツが豊富に実り、そして冬には山岳地帯で雪が降ることも。夏の日中は各地で40度を超えることもしばしばです。冬は比較的温暖ですが、直射日光を遮断するため石造りの建物が多く、暖房を設置していないところも多いため、カフェやお店などの屋内では外より寒く感じコートを手放せないこともあります。
ベストシーズンは温暖な4月〜6月と10月〜11月。ただし、4月は風が強いことが多く、砂漠に行く際は注意が必要です。11月〜2月は雨季となりますが、降っては止んでを繰り返すので1日中雨ということはありません。近年は11月〜2月よりも3月に雨がまとまって降るという状況が続いています。
治安
治安や政治情勢は落ち着いているので、物を放置しない、スリに気をつける、知らない人について行かないなど、基本的なことに気をつけていれば、問題はありません。
各都市のメディナ(旧市街)、特に古都・フェズのメディナは巨大迷路といわれるほど道が複雑に入り組んでいるので、公式ガイドの方に案内をお願いすると安心です。公式ガイドは、ホテルやツアー会社より申し込みができます。路上で「公式ガイド」を自称し声をかけてくるガイドもいるので、トラブル回避のためにも正式な手順を踏んで申し込むようにしてください。
Wi-Fi
多くのカフェやレストランで無料のWi-Fiを提供しています。プリペイドのSIMカードも空港や町中で簡単に入手できるため、スマートフォンでマップを使用する場合はSIMカードを購入したほうがよいでしょう。
ラマダン
イスラム教徒が大半を占めるモロッコでは、ラマダン(断食月)時期にイスラム教徒の義務のひとつである「断食(サウム)」が行われますが、ラマダン時期でも、飛行機、電車、バスなどの公共交通、ツアーやホテルは通常通り稼働しています。
しかし、観光地のレストランやショップでは、営業時間が短くなるので注意が必要です。また日没後のイフタール(断食後の最初の食事)の時間帯は、街が閑散とし、警備も手薄になるので、スリなどに狙われないよう外出は避けましょう。
なおモロッコは通常、日本との時差8時間ですが、ラマダン時期は日本との時差が9時間に変更となるため、飛行機の時間など注意が必要です。
モロッコでの移動手段は?

モロッコは見どころの多い国ですが、各都市や観光地が離れているため移動手段の確保は必須です。
都市から都市への移動は、飛行機、鉄道、バス、グランタクシー(市外まで行ける乗り合いタクシー。1台の価格を乗車する人数で割り勘)、乗り合いバス、プライベートツアー、いずれかの利用となります。市内での移動はプチタクシー(市内タクシー)または市内バスを利用します。ラバト、カサブランカにはトラム(路面電車)もあります。
大きな都市から大きな都市へは飛行機、鉄道で移動できますが、砂漠やシェフシャウエンのような小さな都市に行く際は車でのみ移動可能です。
市内を移動する際はプチタクシーの利用が必須。各都市で1メーターの価格が異なります。3人までの乗り合い制で、席が空いており同じ方向の人がいれば途中で他の乗客が増えることもあります。または逆に自分が乗ることも可能です。
主要都市であるフェズ、カサブランカ、ラバトのプチタクシーはほとんどがメーターを使ってくれます。しかし、マラケシュでは観光客相手にはメーターを回してくれず、高額な料金を要求されることがよくあるので、事前に距離と金額を調べて、乗車する前に交渉することをおすすめします。
プチタクシーはシェフシャウエンは青、フェズは赤、マラケシュはクリーム色など、各都市で色が異なります。ぜひチェックしてみてください。
幻想的な青い街・シェフシャウエンを散策しよう

アラビア語で「角」を表す「シャウエン」。リフ山脈の南麗ティスカ山(約2,025m)とメッグ山(約1,616m)の峰が2本の角のように見えるために名付けられたと言われています。
シェフシャウエンは、15世紀にポルトガル人からの侵略を防ぐための要塞として設立され、15世紀から17世紀にカトリックに改宗したイスラム教徒とユダヤ人がスペインから逃れてきて定住したことにより繁栄しました。1920年にスペインに占領されたのち、1956年に再びモロッコの都市となったモロッコの中では比較的新しい都市です。
街の建物が青く塗られている理由には、虫よけや暑さをしのぐため、ユダヤ教にとって青が神聖な色であったためユダヤ人によって青く塗られたなど諸説あります。
シェフシャウエンは、モロッコの他の観光都市と比較すると雨が多めです。
シェフシャウエンはリフ山脈の中にあり、カサブランカからはバスの本数も少なく長時間かかるためフェズを経由するのが一般的です。フェズからは、遠距離バスやレンタカーを利用して片道約5時間で行くことができます。
メディナ(旧市街)

アイン門(Bab al Ain)または、ハマー門(Bab Hammar)を入ったところにあるのがシェフシャウエンのメディナです。メディナの中心となるウタ エル ハマン広場を東へ進めばマクゼン広場があります。各都市からのシェフシャウエン行きのバスでバス停に到着しプチタクシーでメディナまで行く場合は、このマクゼン広場に到着することがほとんどです。

マクゼン広場から北東へ進むとオンサー門(Bab Onser)へ。オンサー門を出るとラウ川(Ouer Laou)が流れています。ここには、洗濯をしている住民たちがいることも。
シェフシャウエンのメディナはそれほど広くないので、3時間ほどあれば主要なスポットを観光することができます。
ウタ エル ハマン広場

シェフシャウエンのメディナの中心となる広場。グラン・モスクを背にウタ エル ハマン広場に立ち、見上げるとSNS映えすることで有名な青いシェフシャウエンの町並みが広がっています。カフェ、レストラン、お土産店が軒を連ね、所々で青の街に溶け込んだ猫たちを目にすることでしょう。マラケシュやフェズに比べるとお土産店の客引きは控えめ。ただし、同じような雑貨でも価格は高めです。
ウタ エル ハマン広場には多くのレストランがありますが、せっかくならシェフシャウエンの町並みを見下ろしながら食事を楽しめる、上階まであるレストランがおすすめです。広場から見上げ、上階で食事をとっている人たちを目印にすればレストランを見つけられるでしょう。
グラン・モスクの隣には、シェフシャウエンの歴史を学べるカスバ博物館があります。展示品はそれほど多くありませんが、庭園がありシェフシャウエンの街を望める塔があります。

カスバ博物館(Kasbah Museum)
- 住所
- Pl. de la Kasbah, Tanger 90030, Morocco
- 営業時間
- 午前9時〜午後5時30分
- 定休日
- 不定休
スペインモスク

シェフシャウエンの街を見下ろせる丘の上に位置するのがスペインモスクです。
オンサー門を出て急な坂を登ること徒歩約20分で到着します。道中、ヤギや羊を放牧している人を見かけることもあるでしょう。
青い町を一望できると人気で、シェフシャウエンを訪れた人は必ず立ち寄ると言われるほどの定番スポット。太陽が昇る早朝、夕日を拝める日没の時間をめざして訪れる人も。
なお現在、スペインモスク自体には入ることができません。
エキゾチックな赤い街・マラケシュの観光スポット

モロッコの観光地として最も人気がある都市がマラケシュです。
マラケシュの見どころは、ジャマ・エル・フナ広場を中心としたメディナ、マジョレル庭園やイヴ・サンローラン博物館などがあるギリーズと呼ばれる新市街、王宮のある史跡地区と大きく3ヶ所に分けられます。
メディナの西には約77mのミナレット(塔)であるクトゥビアがそびえ立ちます。その周りの公園では地元の人々がのんびり過ごす姿が見られ、モロッコののんびりした日常が感じられるでしょう。
クトゥビア・モスクを含むマラケシュ旧市街は、1985年に文化遺産に登録されています。
近年では、新市街にブランドショップや新しいカフェ、レストラン、モロッコ雑貨を近代的にアレンジしたおしゃれなショップなども増えており、新旧のモロッコを同時に体感できるのもマラケシュの魅力。観光には最低でも2日間ほど必要でしょう。シェフシャウエンが青い街なら、マラケシュの街はレンガ色で統一された「赤の街」です。
ジャマ・エル・フナ広場

モロッコと聞いてジャマ・エル・フナ広場を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。本来「ジャマ・エル・フナ」は「死人の集会場」を意味し公開処刑場だったとされ、2009年9月に無形文化遺産に登録されています。
ジャマ・エル・フナ広場では、夕方からミートボールのケフタや、魚のフライなどの屋台が建てられはじめ、22時過ぎくらいまで広場は人で溢れかえり賑やかになります。昼間は屋台は出ていませんが、オレンジジュースが人気のフルーツジューススタンドやお土産店、ヘナタトゥーをする人、ヘビ使いや猿使い、大道芸人が広場を賑わせています。広いマラケシュの街の風情を簡単に味わいたいなら、広場付近に多く待機している観光客用の馬車で1時間ほどかけてゆっくり周るのもおすすめです。
観光客に慣れているマラケシュの商売人はかなり強気。値札がついていない商品は値段交渉が必須です。また、ヘビ使いや猿使いは「写真を撮ろうよ」と近寄ってきて、いざ自分のカメラで撮影すると高額な料金を要求されます。写真を撮る前に値段交渉をしましょう。なお、一緒に撮影せず、ヘビや猿だけを撮影する場合でも撮影料金を要求されるのでご注意を。
スーク(市場)


ジャマ・エル・フナ広場から北に広がるモロッコで最大規模とも言われるマラケシュのメディナにあるスーク。スパイス、バッグ、モロッコのスリッパとして有名なバブーシュ、衣料品、絨毯、金物、陶器、革製品などさまざまなお店が軒を連ねています。モロッコのどの都市にもスークがありどこも似た品揃えですが、観光客が集まるためか新しいデザインのバブーシュやバッグはマラケシュが一番品数豊富です。
モロッコでは値札がついておらず交渉して金額を決めることがほとんど。基本的に同じ商品を扱うお店が集まっているので、お目当てのものを見つけたら同じ物を扱う店を数件訪ね、相場を確認しましょう。
品物が決まったら最も安かったお店の価格を提示し、「それでは安すぎる」と言われたら「向こうのお店ではこの価格だった」と粘るのがおすすめです。ただし、全く同じ商品ではなくデザインが凝っているものだったりすると、思ったように価格が下がらないこともあります。まとめ買いをすれば、安くしてくれることが多いので、値段交渉をしてみてください。
コブ門から入って左手にある伝統工芸館では、モロッコ伝統工芸の実演と製品を見ることができます。銀細工、銅彫刻、木工クラフト、バブーシュ、カフタン、タイルなどの制作が行われており、販売もされています。
伝統工芸館(Ensemble Artisanal)
- 住所
- Av. Mohammed V, Marrakech 40000, Morocco
- 営業時間
- 午前9時30分〜午後7時
※日曜日のみ午前9時〜午後2時
- 定休日
- 不定休
バヒア宮殿

カットしたタイルを組合せて幾何学模様を作るモロッコならではのゼリージュや漆喰、ステンドグラス、木工彫刻など細部まで施されたデザインが目を引くバヒア宮殿は、建設当時の19世紀最大級の宮殿をめざして14年かけて建てられました。

8,000平方メートルもの敷地内には、150の客室と庭園があります。もともとはスルタンの大宰相シ モウサ(Si Moussa)が、1866年から1867年にかけて個人的に使用するために建設を開始しました。その後権力と富を手に入れた奴隷のアブ アフマド(Abu Ahmed)が、フェズから職人を呼び寄せ建立したものが現在のバヒア宮殿となっています。アブ アフマドの時代には、暖炉、評議会室、柑橘類の木々に囲まれた大きな庭、名誉裁判所が備わり、彼の4人の妻と数人の側室の住居として使用されていました。
フランス保護領時代には総督府が置かれていましたが、モロッコがフランスから独立した1956年、ハッサン2世国王により文化的象徴および観光名所とするようモロッコ文化省の管理に移管されるまでは、王宮としての役目を担っていました。
なお、バヒア宮殿は、北アフリカで初めてステンドグラスを装飾に使った建物と言われています。
バヒア宮殿(Bahia Palace)
- 住所
- 5 Rue Riad Zitoun el Jdid, Marrakech 4000, Morocco
- 営業時間
- 午前9時〜午後5時
- 定休日
- 不定休
- 料金
- 70MAD(日本円 約1,000円)
- URL
- https://bahia-palace.com/
モロッコ最大の都市・カサブランカの観光スポット

モロッコ最大の都市であり、経済都市でもあるカサブランカ。
大西洋に面するこの街には高層ビルが建ち並び、トラムが走ります。マラケシュやフェズではあまり見かけないスーツを着るビジネスマンも、ここでは多く見かけます。カサブランカには、カサ・ヴォヤージュ駅(Gare de Casa Voyageurs)とカサ・ポート駅(Gare de Casa Port)の2つの駅があり、モロッコ最大の空港であるムハンマド5世国際空港から列車でカサブランカ市内に行く際には、いずれかの駅で降りることになります。
街の中心となる国連広場の北側にメディナ、東南には高級ショップが並ぶムハンマド5世通り、通りをまっすぐ行くと地元の人々が集う中央市場、南に走るハッサン2世通りを進んだところにあるムハンマド5世広場のあたりがカサブランカの繁華街です。北西に進むとハッサン2世モスクが。ハッサン2世モスクの西側の海岸沿いはシーフードレストランやリゾートホテル、ナイトクラブが並ぶエリアとなります。
カサブランカには、近代的な町並み、昔ながらのモロッコの風景、リゾート地とさまざまな顔を持つ観光スポットがあります。
ハッサン2世モスク

大西洋に面したモロッコ最大のモスク。
ハッサン2世国王の指示と指導の下、12,500人以上の職人によって1986年から6年もの年月をかけて建設されました。設計はフランス人のミシェル・ピンソーによるもので、モスク内は「海・太陽・風」がデザインモチーフとして落とし込まれています。漆喰・木彫り・ゼリージュ(モザイクタイル)・大理石がふんだんに使用され、モロッコモスクの中の最高傑作とも言われます。
完成した1993年8月30日は、預言者モハメッドの誕生を記念する日と一致すると言われており、イスラム教徒にとっても重要な節目です。200mのミナレット、2万平方メートルの礼拝場には25,000人が収容可能となっており、広場を合わせれば10万5,000人の収容が可能。ハマム(大衆浴場)や手足を清める噴水も備わっています。
本来モスクはイスラム教徒のみが入場できますが、ハッサン2世モスクでは毎日決まった時間にガイドツアーが行われており、イスラム教徒でなくてもモスク内に入ることができます。ただし、神聖な場所であることには変わりないので、肌を見せない服装で訪問しましょう。短パンや袖なしの服装は厳禁です。
ハッサン2世モスク(Hassan II Mosque)
- 住所
- Hassan II Mosque, Boulevard Sidi Mohammed Ben Abdallah, Casablanca 20000, Morocco
- 営業時間
- 午前9時〜午後3時
※時期によって異なるため公式ホームページ参照
- 定休日
- 不定休
- 料金
- 130MAD(日本円 約1,900円)
- 電話番号
- +212 5224-82886
- URL
- https://www.fmh2.ma/en
メディナ(旧市街)とスーク(市場)

城壁で囲まれたメディナは、1755年のリスボン大地震後にポルトガル人がこの地を去った後に発展しました。白い建物で形成されたカサブランカのメディナは、マラケシュやフェズと比較すると道幅が広く開けた印象を受けます。北側が住宅街となっており、スークは南側に集中。食品、衣類、陶器などさまざまなものが販売されていますが、観光客向けではなく、現地の人々が商店街として利用しているような場所です。訪れる観光客が少ないため、真のモロッコのメディナとスークの姿を垣間見ることができるかもしれません。
メディナで道に迷ったら、国連広場の前に位置する時計台を目印にするとよいでしょう。
メディナマーケット(Medina of Casablanca)
- 住所
- Av. des FAR, Casablanca 20250, Morocco
- 営業時間
- 午前10時〜午後9時
- 定休日
- 不定休
ムハンマド5世広場

モロッコの独立を実現し、現代的なモロッコ王国を築いた国王ムハンマド5世に由来する噴水のある広場。この広場を囲むように、市庁舎、裁判所、郵便局、シティ・ホール、映画館などが建ち並びます。
メディナの前にある国連広場からは歩いて15分ほどの場所に位置し、カサブランカの公共機関が集中するこの場所は、西洋の雰囲気が漂います。
世界一迷子になる!?フェズの観光スポット

モロッコ最初のイスラム王朝の都であったフェズの街。
この街は、旧市街のフェズ・エル・バリとフェズ・エル・ジェデド、そして新市街の大きく3つの地域に分けられます。
迷路の街として有名なフェズ・エル・バリは世界遺産にも登録されており、9世紀に完成したモロッコで最も古い都です。北東部の旧市街フェズ・エル・ジェディドは、アラビア語で「新しいフェズ」を意味する13世紀に造られた街で、王宮や旧ユダヤ人居住区メラーがあります。
そして新市街はフランスの保護領時代に造られ、鉄道駅やバスターミナル、警察、カフェなどがありますが、主に地元の人が利用するエリアです。そのため、観光客が訪れるフェズ・エル・バリではほとんどの場所で英語が通じますが、新市街ではアラビア語またはフランス語のみで英語はほとんど通じません。

なお、近年モロッコで人気の古い邸宅を宿泊施設に改築した「リヤド」はフェズが発祥の地。フェズ・エル・バリにある築100年を超えたモロッコ人法律家の邸宅を改装した「ラ・メゾン・ブルー」が成功したことにより、フェズやマラケシュでも次々とオープンするようになりました。扉を開けると別世界が広がる「リヤド」は、モロッコを訪れたならぜひ宿泊したいホテルのひとつです。
ブー・ジュルード門

フェズ・エル・バリ観光の起点となるのがブー・ジュルード門です。幾何学模様の青や緑が施されたこの門は1913年に建てられ、フェズ旧市街の一部として、1981年に文化遺産に登録されました。
ブー・ジュルード門を一歩入ると、そこはまさに9世紀の世界に迷い込んだよう。フェズ・エル・バリには、9,000以上もの小道があると言われており、まさに巨大迷路です。あまりに道が細いため車はメディナの中を通ることはできず、今もなおロバや荷車を引いた人が荷物を運んでいます。
フェズのメディナの見どころは、主にブー・ジュルード門から始まるセギーラ通りとケビーラ通りにあります。この先にも小道は無数にあり、フェズのメディナはさらに続きますが、観光客が主に訪れるのはこの通りのみとなるでしょう。セギーラ通りとケビーラ通りには、バブーシュ、モロッコ人がお祝い事などのときに着る正装であるカフタン、雑貨などのお土産店が並びます。マラケシュと同じく値札がついていない場合は、値段交渉必須です。
なお、2つの通りが観光のメインといっても迷うことが不可避です。迷ったらとりあえず「ブー・ジュルード門に行きたいが、どちらの方向か」と周りの人に尋ねましょう。しかし、メディナの小道に紛れ込むとWi-Fiはつながるものの、マップが機能しなくなります。迷わないことはもちろん、「案内するよ」と次々に声をかけてくるモロッコ人を避けるためにも公式ガイドを雇うことをおすすめします。
ブー・ジュルード門(Bab Bou Jeloud)
- 住所
- Bab Bou Jeloud, Fes 30100, Morocco
- 営業時間
- 24時間営業
- 定休日
- 年中無休
ブー・イナニア・マドラサ

ブー・ジュルード門から見えるミナレットのふたつのうちのひとつ、14世紀にブー・イナニア王によって建てられたブー・イナニア・マドラサは、フェズ旧市街の一部として、1981年に文化遺産に登録されました。
ブー・ジュルード門からセギーラ通りに入り、徒歩約3分の場所にあります。
ブー・イナニア・マドラサは、マリーン王朝最大の神学校であり、大理石や幾何学模様のタイルが施された建築はマリーン王朝の傑作のひとつとも言われています。中庭には学生が身を清めるために使用した水盤が、2階には学生たちの宿舎として使用された部屋や、今は使われていない水時計もあります。
世界最古の大学として有名なフェズのカラウィーイーン・モスクにはイスラム教徒でないと入ることができませんが、ブー・イナニア・マドラサは観光客でも見学が可能です。
ブー・イナニア・マドラサ(Bou Inania Madrasa)
- 住所
- Rue Talaa Sghira, Fes, Morocco
- 営業時間
- 午前9時〜午後6時
※水曜日のみ午前9時〜午後5時
- 定休日
- 不定休
タンネリ・ショワラ

タンネリ・ショワラは、フェズ川のほとりにあるなめし革染色職人街エリア。ジュルード門から徒歩約20分の場所にあり、フェズ旧市街の一部として1981年に文化遺産に登録されています。
工場では、職人たちが手作業で羊・牛・ラクダなどの革を染色桶で染めている様子を上階から見学することができます。なめし革特有の臭いが広がっており、ミントの葉を嗅いで臭いを紛らわせるため、案内スタッフがミントの葉を渡してくれますよ。
工場には革製品の販売店舗を併設しているところが多く、バッグ、バブーシュ、クッションカバー、ジャケットなどが購入できます。最もお手頃な価格で購入できるのは、羊の革製品。ラクダの革製品はモロッコでも高級品のため高額ですが、羊の革と比較すると厚手で質が良いです。
タンネリ・ショワラまでの道は非常に複雑です。地元の人に道を尋ねると、工場まで案内しようとする人が次から次へと現れてチップをねだられることになるので、公式ガイドを雇い案内してもらうのが安全でしょう。
タンネリ・ショワラ(Tannery Chouara)
- 住所
- 21 Rue chouara, Fes, Morocco
- 営業時間
- 午前9時〜午後7時
- 定休日
- 不定休
- 電話番号
- +212 695-130656
日本人にも馴染みアリ!絶対食べたいモロッコグルメ

モロッコ料理は基本的に日本人の舌に合うものばかり。モロッコ料理として知られるタジン、クスクス、ケバブであれば、どの都市でも食べることができます。付け合わせとして、肉をひよこ豆やトマト、玉ねぎなどの野菜と煮込んだハリラスープ、トマトときゅうり、玉ねぎなどをクミンとオリーブオイルで和えたモロカンサラダがあります。食後のデザートにモロカンスイーツが出てくるレストランも多くあります。高級レストランでは、火を通したモロカンサラダ数種、お祝いなどで出されるパスティラ(鶏肉のミートパイ)やブリワット(揚げ春巻き)が出されます。
モロッコはイスラム教の国のため、アルコールは基本禁止。高級レストランではモロッコワインやモロッコビールなどが置いてありますが、観光客が賑わうレストランでは提供されることはほとんどありません。飲み物は水、ミントをふんだんに使用したミントティー、エスプレッソ、生のオレンジを絞った100%のオレンジジュース、コーラなどの炭酸飲料が主流です。モロッコワインやビールはフランスの大手スーパーカルフールなどで購入できます。少し重いですが、珍しいのでお土産におすすめです。
クスクス

イスラム教徒の集団礼拝の日であり、聖なる日でもある金曜日は、家族全員でランチにクスクスを食べる日でもあります。
クスクスはモロッコを中心とした北アフリカのマグレブ地域が発祥の地と言われる煮込み料理です。世界最小パスタとも言われる粒状のデュラム小麦粉を蒸し、煮込んだ野菜や鶏肉、羊肉、牛肉を乗せ、煮汁をかけながら食べます。エリアや各家庭で使用するスパイスが異なるため、食べる場所によって味が異なるのも魅力です。
モロッコのスーパーではさまざまな種類のデュラム小麦粉が販売されており、メディナでは日本よりも安くスパイスを購入可能なので、お土産に買って日本でクスクスを作ってみるのもおすすめ。
観光地のレストランでは金曜日でなくてもクスクスが提供されています。
Cinema Cafe
- 住所
- 8 Sidi Lkhayat, Fes 30110
- 営業時間
- 午前8時〜午後11時
- 定休日
- なし
- 電話番号
- +212 535638395
- URL
- https://www.instagram.com/cinemacafefez/
タジン

モロッコ人がほぼ毎日食べるタジン。タジンは円錐形の蓋のタジン鍋を使用することで食材から出る水分を効率的に利用し、水の確保が難しい砂漠でも煮込み料理ができるようになっています。しかし現在では、タジン鍋で煮込むと時間がかかるため、都市部や観光地のレストランでは圧力鍋でタジンを調理し、最後に火を通すためにタジン鍋に入れ替えることがほとんどです。
ひとことでタジンといっても、日本にいろいろな味噌汁や煮物があるように、野菜、羊肉、牛肉など材料は多岐にわたり、さっぱり味やこってり味など味はさまざま。タジンもクスクスと同じく、エリアや各家庭で使用するスパイスが異なるため、食べる場所によって味が異なります。メジャーなものでいえば、鶏肉のタジン、ミートボールタジン、野菜のタジン、海辺の街にはフィッシュタジンがあります。モロッコ人は、タジンの具材をパンですくって食べるため、タジンには必ず、ホブズ(丸いパン)かバケットがついてきます。
Bazaar Cafe
- 住所
- 24B Rue Sidi el Yamani, Marrakesh 40000, Morocco
- 営業時間
- 午後0時〜午後10時
- 定休日
- 不定休
- 電話番号
- +212 5243-87283
- URL
- https://www.instagram.com/bazaar_cafe_marrakech/
ミントティーとモロッコスイーツ

モロッコのお茶といえばミントティー。中国の緑茶をたっぷりのミントの葉と一緒に蒸したお茶です。高い位置からシルバーのティーポットでモロカングラスに注ぐのがモロッコ流。モロッコ人はこれでもか、というくらい砂糖を入れるので、甘い物が苦手な方は砂糖抜きで頼むか、少なくしてくれるよう頼むことをおすすめします。


ミントティーと一緒に出されることが多いモロッコスイーツには、アーモンドがふんだんに使用されたクッキー、ブリワットなどがあります。ラマダン時期になると多くの場所で見られるのがシュべキア。はちみちとゴマがまぶされたシュべキアはかりんとうのような味で日本人も食べやすいでしょう。
レストランでは、甘いパスティラや輪っかに切ったオレンジに砂糖をまぶしたスイーツなどが出てくることが多いです。メディナでは、メレンゲやドーナツ、ミルフィーユがモロッコ人のこどものおやつとしてお手頃な値段で販売されています。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
モロッコでは、エリアを移動するごとに、「こんな一面もあるのか!」と驚くような新しい姿と出会えること間違いなし。ぜひ、多くの場所を訪れてその魅力を満喫してほしいところですが、見どころがある地域がそれぞれ離れているため短期旅行で全てを見ることは難しいでしょう。そのため、大自然を満喫するなら砂漠、文化や現地の人に触れたいのであればマラケシュやフェズ、北アフリカの最先端の姿を見たいならカサブランカなど、旅の目的を決めて訪れる地域を選択するのがおすすめです。
日本とは全く違う文化ながら、人々は朗らかで食事もおいしいモロッコ。日常を忘れる旅行をしたいならぴったりです。ぜひ訪れてみてください。
※本記事は2024年4月17日現在の情報です。