2023.10.11
この記事の目次
ムーミンやサンタクロースの故郷としても知られる北欧の国、フィンランド。
フィンランドはスウェーデンやロシアによる支配の後、1917年に独立した比較的若い国です。首都ヘルシンキはバルト海に面した自然や歴史的建造物、近代的文化が共存する美しい街であることから「バルト海の乙女」と呼ばれています。首都でありながら自然や公園が街中に点在し、人々の憩いの場となっています。
ヘルシンキの概要
※日本が7時間進んでいます(サマータイム時は6時間)
ヘルシンキへの渡航は乗り継ぎなしの直行便がおすすめです。現在、関西国際空港からはフィンエアーが週3便(月・木・土)運航しており、片道約13時間(2023年9月時点)。世界地図で見ると遠いように感じますが、地球儀を見てみると実は日本から一番近いヨーロッパの国はフィンランドなのです。
ここではヘルシンキ観光のコツをご紹介します。フィンランドの公用語はフィンランド語とスウェーデン語ですが、ヘルシンキではほとんどの場所で英語が通じます。親日家の方も多く、治安もよいので、安心して旅を楽しむことができるでしょう。
ヘルシンキは首都でありながらとてもコンパクトな街なので、多くの観光名所が中心地から歩いていける範囲にあります。公共交通機関はバス、トラム、地下鉄、近郊列車、フェリーと大変充実しています。チケットの有効な時間内であれば、同じチケットで異なる公共交通機関に乗り換えることも可能。チケットはHSL(交通機関を運営している会社)のモバイルアプリや自動券売機、コンビニ、HSLのチケット売り場で購入することができます。
料金は、街の中心地からA〜Dの規定されたゾーンによって変わります。そのため、利用予定のゾーンに合わせてチケットを購入する必要があります。チケットは3種類あり、旅行の行程に合わせて購入することをおすすめします。
シングルチケット | 行き先に該当するゾーンのチケットを購入。有効時間(ゾーンにより80〜100分)以内なら、この1枚で乗り換え可能。 |
デイチケット | 1〜13日の間で希望日数を選べ、その間公共交通機関が乗り放題。シングルチケット同様にゾーン制で、最初にカードリーダーに読み込ませた時点より適用される。 |
ヘルシンキカード | 主要観光地の入場料が無料または割引になるお得なカード。公共交通機関も利用できるヘルシンキカード·シティやヘルシンキカード·リージョンがある。 |
ヘルシンキカードは、美術館や教会といった28種類以上の観光施設をはじめ、観光バスツアー、市内の公共交通機関のチケットとして利用できるお得なカードです。「1日券(24時間)」「2日券(48時間)」「3日券(72時間)」の3種類があり、カードに含まれる内容も3パターンあるので上手に使い分けできるとよいでしょう。
ヘルシンキカード・モバイル | スマートフォンで使える、モバイルカードタイプ。 観光施設のみ(公共交通機関の乗り放題なし)。 |
ヘルシンキカード·シティ | 窓口で引き換えて使用する、現物のカードタイプ。 観光施設と公共交通機関の乗り放題を含む。 |
ヘルシンキカード·リージョン | 窓口で引き換えて使用する、現物のカードタイプ。 観光施設と公共交通機関の乗り放題を含む(シティより広範囲)。 |
フィンランドで採用されている通貨は、ユーロです。キャッシュレス化が進んでおり、ほとんどの場所でクレジットカードやデビットカードが使えるため、現金を持ち歩かない人も多くいます。100ユーロ以上の高額紙幣は、お釣りがなかったり偽札の恐れがあったりと支払い時に断られる場合もあるので注意が必要です。
ヘルシンキには観光名所がたくさんありますが、中でも四季を通して楽しめるおすすめの観光名所を4ヶ所ご紹介します。
絶対に外せないのが、1852年に建設されたランドマークともいえるヘルシンキ大聖堂。ヘルシンキのほぼ中央に位置するフィンランド福音ルター派教会で、堂内に入ることもできます。目の前のヘルシンキ元老院広場に立つ銅像はロシア皇帝アレクサンドル2世であり、彼は当時支配下にあったフィンランド市民の声にも耳を傾け、フィンランド語を行政上の公用語として認めるなど、最大限に自由を重んじた人として有名です。
ヘルシンキ大聖堂(Helsingin Tuomikirkko)
※有志者のみ
映画「かもめ食堂」にも登場し、観光客はもちろんのこと地元の人々からも愛される老舗市場。1914年からヘルシンキのハカニエミというエリアにあり、5年間の長い改修工事を経て、2023年にリニューアルオープンしました。肉、魚、野菜といった生鮮食品だけでなく、カフェやレストラン、雑貨屋さんが点在し、見てまわるだけでも楽しむことができます。
ハカニエミ・マーケットホール(Hakaniemen Kauppahalli)
マーケット広場からマンネルハイム通りまでを結ぶエスプラナーディ大通りと、隣接する緑豊かなエスプラナーディ公園も、必ず訪れたいスポットです。地元の人々から「エスパ」の愛称で親しまれるエスプラナーディにはオープンカフェや高級ホテル、ブランドショップが建ち並び、フィンランド最大のデパートもあります。エスプラナーディ公園には老舗レストラン「カッペリ」があり、夏にはベンチや芝生の上で日光浴をする地元の人々で賑わいます。
1991年に世界遺産に登録されたスオメンリンナ島は、1700年代に造られた海の上にある要塞で、スウェーデンやロシア国防の歴史を体感できる島。ヘルシンキのマーケット広場からフェリーで片道約15分と、アクセスのよさも魅力です。海に囲まれた豊かな自然はもちろん、美術館やカフェ、レストラン、教会など見どころがたくさんあり、ヘルシンキ中心の喧騒から離れ、のんびり過ごすにはぴったりの場所です。
フィンランドは日本同様、四季が美しい国。しかし1年の半分ほどを冬が占めていて、日照時間は約6時間とかなり短め。そんな冬のヘルシンキは、あたり一面真っ白な雪に覆われた幻想的な雪景色や、メルヘンチックなクリスマスなど楽しみがいっぱい。ここでは冬のヘルシンキの魅力をたっぷりとご紹介します。
冬のヘルシンキの気温は毎年氷点下となり、氷点下20度になることもあります。風が強い日は、寒いというより肌が「痛い」という感覚。自宅ではTシャツで過ごすという人も多いですが、外出の際はニット帽、マフラー、手袋、ニットソックスが必須アイテムです。
ヘルシンキ大聖堂の前で毎年開催されるクリスマスマーケットは、この時期必ず訪れたいスポット。カラフルな小屋がたくさん並び、手作りのキャンドル、雑貨、ジャム、ホットワイン(フィンランド語で「グロッギ」)などを売るお店や、メリーゴーランドもあり、まるで絵本の世界に飛び込んだかのような気分になります。フィンランドではクリスマスが1年で最も大切なイベントで、毎年人々はこのクリスマスマーケットを心待ちにしています。開催期間は12月1日〜22日と、クリスマスイヴとクリスマス当日は営業していないので注意が必要です。
フィンランドでは11月頃から徐々にイルミネーションの飾り付けが始まり、街全体がクリスマスムードに包み込まれます。ヘルシンキ中心地のデパートやショッピングモールもクリスマス仕様に装飾され、いそいそとプレゼントを購入する人々の姿を多く見かけます。クリスマスの国フィンランドで買ったクリスマスカードや装飾品は、すてきなお土産になること間違いなしですね。
フィンランドではアートがとても身近な存在で、街中には多くの美術館があります。屋内で冷えた身体を温めながら、上質なアートに触れるのがおすすめです。時期によって展示内容が変わるところも多いので、あらかじめホームページで確認し、興味のあるスポットを訪れてみましょう。
筆者が特におすすめしたいのは、冬のサウナ。サウナで温まった身体をクールダウンさせるために一面真っ白に凍った海や湖に穴を開けて浸かる「アヴァント」が体験できます。氷水に浸かる瞬間までは、今まで経験したことのない寒さと冷たさに心臓が止まるのではと不安になりますが、肩まで浸かった瞬間、なんとも言えない快感と高揚感に包み込まれ、不思議と全身がポカポカしてくるのです。
フィンランド独立100周年を祝う国家プロジェクトの一環として、そして国民への贈り物の意味を込めて2018年にオープンした公共図書館「オーディ(Oodi)」。洗練された建築デザインだけでなく、従来の図書館の枠組みを大きく超えた機能性が評価され、2019年には国際図書館連盟(IFLA)の「パブリック・ライブラリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。約550万人の人口に対して、年間に約6,800万冊もの本が図書館で貸し出されているフィンランド。暗くて寒い冬、居心地のよい屋内で本を読むのもここでの冬の過ごし方。図書館の中にはカフェとレストランもあり軽食も可能です。
オーディ(Oodi)
フィンランドのまぶしい美しさがはじける季節、夏。青く澄み渡る空、森林の緑、穏やかな海が美しく広がります。1日の日照時間が約19時間にもなり、朝早くから夜遅くまで太陽の光が降り注ぐという不思議な感覚を味わえます。そんな夏をフィンランドの人々は心待ちにしており、街のテラスや公園で短い夏の日差しを思いっきり楽しみます。
6月の平均気温は11〜17度、7月の平均気温は15〜21度、8月の平均気温は15〜20度と、思ったよりも涼しいと感じる方も多いかもしれませんね。日本と比べて湿度が低いのでカラッとしていますが、日差しが強く、近年は温暖化の影響もあり30度を超える日もあります。木陰は涼しいこともあるので、薄手のカーディガンなどがあると安心です。
エスプラナーディ公園の東、つきあたりに位置する港前の広場では、夏になると色とりどりの野菜や果物、キノコなど、地元の人々の生活が垣間見れるお店が軒を連ねます。焼きたてのサーモンを提供する屋台やお土産物ショップもあり、夏は観光客と地元の人でごった返しになります。港ということもあり、食いしん坊のカモメにご飯を盗まれないよう要注意です!
ヒエタラハティ・マーケット前の広場では、毎年夏になると青空蚤の市が開催されます。フィンランドでは古いものを長く大切に使う文化があり、不要になったものも捨てるのではなく、中古品としてリサイクルしたり、寄付をしたりします。日本でも人気が高いフィンランドブランドのヴィンテージ品など、宝探し気分で掘り出し物に出会えるチャンスです。
夏限定で営業される公衆サウナのなかでも、とっておきのおすすめは「ロンナ サウナ」。フェリーに乗ることわずか10分ほどで着く小さな島にあり、モダンでおしゃれなサウナ施設とレストランがあります。サウナで身体を温めたあとは海に入ってクールダウン。特別な爽快感を味わうことができます。
ロンナ サウナ(Lonna Sauna)
※毎年5月〜9月のみ営業
ヘルシンキの街中には、大小問わず緑豊かな公園が多数点在しています。夏になると、日光浴を楽しむ人々で賑わい、ゆっくりと穏やかな時間が流れます。テイクアウトした軽食でピクニックをするもよし、公園の屋台でアイスを買って食べるのもよし、のんびり読書をするのもよし。ぜひ太陽の下でのんびり過ごしてみてくださいね。
映画「かもめ食堂」の撮影地でもあり、映画のポスターにもなったヌークシオ国立公園は、ヘルシンキから電車とバスを乗り継いで行ける場所にあります。美しく広がる白樺の森、美しい湖、深呼吸したくなる澄んだ空気。ハイキングコースを探索しながら、時期によっては自由にブルーベリーを摘むこともできます。
サウナはフィンランド人のライフスタイルを語るうえでは欠かせない存在です。日本のサウナとは違い、テレビも時計もなく、静かで薄暗いサウナの中で、肩書きや年齢、性別関係なく、人々がフラットに接する社交場でもあるのです。普段はシャイなフィンランドの人もサウナの中では魔法にかけられたようにフレンドリーになる、なんてことも。
2016年にヘルシンキの海辺にオープンした、モダンで地元の人たちにも大人気のサウナ施設。レストランやバーも併設していて、サウナの後に海を眺めながら食事やお酒も楽しむことができます。店名にもなっている「ロウリュ」とは、「サウナストーブからあがる蒸気」を意味する、サウナ用語。古典的な公共サウナは男女別で裸で入るのが一般的ですが、ここでは水着を着て男女混合で楽しむことができます。2種類のサウナ(電気サウナ・薪サウナ)で身体が温まったら、バルト海にドボンと浸かり、火照った身体をクールダウンしましょう!
ロウリュ(Löyly Helsinki)
ヘルシンキの公共サウナの中でも、特に個性派なのがこのスカイサウナ。なんと観覧車の中でヘルシンキの景色を一望しながらサウナを体験できる、唯一無二のサウナです。ただし、4月~11月のみの営業で、日によって営業時間も変わるので、事前に確認し予約するのがベターです。
スカイサウナ(SkySauna Helsinki)
カウリラン・サウナは名前の通りサウナグッズの専門店。オーナーが公衆サウナをオープンした際に、高品質のリネンタオルや石鹸を提供したいと考え、オリジナル商品を作ったことがお店のはじまり。さまざまなブランド製品も売られていますが、フィンランド製で自然派にこだわった自社製品は特に力を入れており、オリジナルのサウナグッズも充実しています。
カウリラン・サウナ(Kaurilan Sauna Shop)
旅行の楽しみのひとつは、グルメですよね。ヘルシンキには気軽に軽食が楽しめるカフェから、ミシュランの星を獲得したレストランまで、バラエティに富んだグルメスポットがあります。ヘルシンキでは英語が通じるので、メニューに迷ったらお店の方におすすめを聞いてみるのもよいかもしれませんね。
おしゃれなメニューが楽しめる大人気のベーカリーカフェ。朝から夜まで営業しているため、モーニングはもちろんランチ、ディナーメニューもあり、夜はワインやパスタなどを提供しています。カフェとしてもレストランとしても利用できる使い勝手の良さも、おすすめポイントです。予約は不可なので、気楽に寄ってお食事や軽食を楽しむのにうってつけです。
ウェイ・ベーカリー(Way Bakery)
正統派の家庭料理を提供する1952年創業の老舗レストラン。今でも創業当時のレシピを受け継ぎ、地元の方に愛されています。クラシックな雰囲気ですが敷居は高くなく、フィンランド料理を体験するのにぴったりのレストランです。フィンランドの有名映画監督アキ・カウリスマキの作品のロケ地としても知られています。
コルメ・クルーヌア(Ravintola Kolme Kruunua)
フィンランドで唯一2011年から13年連続ミシュランを獲得している高級レストラン。マーケット広場の隣に位置し、エレガントでありながらもリラックスしてお食事を楽しむことができるお店です。視覚的にも美しいコースメニューは、一生忘れられない思い出になるはずです。
レストラン オロ(Restaurant Olo)
快適なホテルは、すてきな旅行の思い出のひとつ。ヘルシンキはコンパクトな都市なので、どこに泊まったとしても不便さはありませんが、中でも立地、ホスピタリティ、インテリア、モーニングに定評があるホテルをご紹介します。すべてのホテルにサウナがあるのもうれしいポイントですね。
ひと際おしゃれなお店が建ち並ぶプナヴオリ地区にあり、歴史的なブレヴァルディ大通り沿いに位置するブティックホテル。フィンランドを代表するホテルとして、ワールドトラベルアワードを3年連続受賞しています。モダンでかわいらしい内装のお部屋やバリエーション豊富なモーニング、地下にあるサウナなど、全てにおいて一押しのホテルです。
ホテル インディゴ ヘルシンキ ブレヴァルディ(Hotel Indigo Helsinki - Boulevard)
ヘルシンキの中心地カンッピ・ショッピングセンターからわずか3分ほどの距離にあり、立地のよさが最大の魅力のホテル。なんと宿泊すると近くのソコスデパートにて割引価格でお買い物ができます!
オリジナル ソコスホテル プレジデンティ ヘルシンキ(Original Sokos Hotel Presidentti)
1920年代の建物を改装したスタイリッシュなホテル へルカは、すべてのお部屋にアルテックをはじめとしたフィンランドのデザイナーズ家具があり、北欧インテリアファンにはたまらないホテル。オーガニックであることや地元の食材であることにこだわったスカンジナビア風のビュッフェ式モーニングも好評です。
ホテル ヘルカ(Hotel Helka)
ここではヘルシンキ在住ライターがおすすめするお土産を3選ご紹介します!
マリメッコやイッタラといったデザインブランドの製品は、フィンランドでは人々の生活の一部として愛されています。その象徴に、街行く人々のファッションや、カフェやレストランの食器など至るところに取り入れられています。日本でも大人気のマリメッコやイッタラは間違いなくお土産にぴったりですよ。
日本でも愛されているフィンランドの国民的人気者「ムーミン」。空港やヘルシンキの街中にはムーミンショップがあり、ここでしか手に入らないアイテムが多数あります。スーパーマーケットや街中のお店では限定のコラボ商品もあるので必見です。
日本ではなかなか手に入らない、フィンランドのアーティスト作品もおすすめです。ポスターやオブジェ、雑貨はもちろん、実用的な食器やポストカードなど、1点ものに出会うことができます。時にはアーティストご本人から購入できるチャンスも!日本の自宅に飾れば、いつでもフィンランド旅行のすてきな思い出に浸れますね。
フィンランドは関西国際空港から直行便も運航している、日本から一番近いヨーロッパの国です。首都ヘルシンキは街の規模もコンパクトで、歩いて主要観光スポットを巡ることができる観光客に優しい街。季節それぞれの美しさがあり、サウナやショッピング、美術館などのアクティビティもたくさんあります。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
※本記事は2023年9月8日現在の情報です。
関西発の旅がもっと楽しくなる、
空港公式メディア
FLY from KANSAIは、関西3空港(KIX・ITAMI・KOBE)からはじまる旅の魅力や楽しみ方をお届けする空港公式メディアです。
FLY form KANSAIとは